曖昧さに責任逃れの
意図が透ける

 曖昧さのダメ押しは、撮影後に起きた。撮影してもらっている際に、カメラマンから、「撮影後2週間で画像ファイルをメールで送ります」と言われた。しかし、2週間を過ぎても画像ファイルは送られてこない。

 忙しいのだろうと思いつつ、3週間が経過した頃、カメラマンにいつ頃送ってくれそうかと聞くと、丁重なおわびとともに、「窓口になっている会社の担当者から送付することになっており、撮影1週間後に同社の担当者宛てに送付済み」だという明確な説明とともに、画像ファイルが送付されてきた。

 その後、文字通り忘れた頃に、それは撮影日から1ヵ月後だったが、窓口になっている会社の担当者から、既にカメラマンが送付してくれたものと同じ画像ファイルがメールで送られてきた。そのメールの文言に、あぜんとした。「先ほどカメラマンよりデータが仕上がりましたのでお送りさせていただきます」とある。

 これは明らかに偽りだ。カメラマンは撮影1週間後に画像ファイルを担当者へ送付していると言い、撮影3週間後には私へ送付してくれている。

 誰しもメールの不具合に直面したり、中には送り忘れてしまうことも、一度や二度はあるものだ。何らかの事情でビジネスの予定を変更しなければならないこともあるだろうし、期限に遅れてしまうこともある。それが起きてしまったら、送り忘れていました、予定を変更させてください、期限に遅れましたと、事実と謝意を明確に伝えればよいだけだ。

 それを曖昧な表現をしてしまうので、つじつまが合わなくなり、相手を疑心暗鬼にさせて結局、信頼関係を損なうことになる。そして、この曖昧な表現を責任逃れに使うようになってしまうと、これはもう、慢性化したトンデモな事態であると言わざるを得ない。