ベルリンの壁が崩壊し、欧州の冷戦が終結してから30年たった今、東欧と西欧の間で新たな政治的分断が表面化している。東西ドイツ統合の成功と東欧全域での民主主義の勝利にもかかわらず、東欧と西欧は再び離れつつある。その背景には、西側諸国の同盟と欧州連合(EU)の結束を脅かしている価値観の対立がある。大半の西欧諸国の主流派政党は反体制的な政治家から攻勢を受けることが多くなってはいるものの、リベラルな価値観、法の支配、基本的人権、そして長年の試練を経てきた制度を巡る戦後の共通認識を総じて維持してきた。大半の東欧諸国は対照的な状況にある。そこでは排他主義の政党が権力を握っているか勢力を拡大している。こうした政党はより独裁的な支配を好む一方、移民や民族・宗教の多様性、同性愛者の権利、男女同権論を弱さとモラル退廃の兆候として拒絶する。
欧州で東西分断再び、鉄のカーテンなき今
ベルリンの壁崩壊30年、政治的に離れつつある東と西
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