新宿高校何かと熱を帯びている「新宿」だが、話題の「桜を見る会」の会場である新宿御苑にも隣接しており、新宿駅にも近い利便性と快適性を兼ね備えている

団子状態の二番手校から「下克上」を狙う「新宿」

 前ページの表の見方については、前回の連載記事を参考にしていただきたい。

 戸山・青山に目が行きがちな旧第2学区だが、偏差値的には団子状態で人気校が連なっている。都の教育委員会が都立高の多様化を進めており、進学志向でも全日制普通科以外に、コース制・単位制や単位制総合学科、国際や科学技術といったユニークな形態が生まれた。

 同じ区内にある戸山と部活動の定期対抗戦(交流戦)を行っているのが新宿(旧制6中)。昭和の時代には、学校周辺には簡易宿泊所も残り、怪しい一角も見られた。学校横の甲州街道の工事もあって、校舎も建て替えられて、雰囲気は一変した。特に女子の人気が高まっている。

 東京メトロ副都心線の開業により、練馬区からの入学者が大幅に増えるなど、生徒の構成も変化した。

 3校ある進学重視型単位制に指定されたことから、前ページに掲げた「合格めやす表」の普通科の表からは外されてしまい、現在の立ち位置が分かりづらくなっているが、偏差値は青山と遜色ない。

 単位制は本来、取得科目の自由度に特色がある。新宿の場合、自由選択の外国語と、高3で8単位を自由に選択できるものの、受験対応の選択が基本になっている様子だ。進学指導特別推進校に指定されていることも影響しているのだろう。単位制を感じさせる点は、20人の小教室、100人の大教室、大きな階段教室といった、多様なクラス設定にある。

 都立高の平均倍率が1.4倍ほどなのに新宿は2倍前後で推移しており、受験の時から熱気を帯びている。推薦入試でもリーダーシップのある人の意欲を評価するなど“熱い”。進学実績の向上には貪欲といっていいほど積極的で、「進路は補欠なき団体戦」を合言葉に、「チーム新宿」の団結力を前面に押し出している。

 その勢いが、4人に3人が現役合格という結果に表れているのかもしれない。現校長は、「進学指導重点校を目指す」と明言、戸山や青山と並ぼうという熱意を感じる。

 新宿と学校群の時に同じ21群だったのが駒場(旧制3高女)である。新宿同様、進学指導特別推進校に指定されており、同じような立ち位置だが、女子高等学校が前身ということもあって、保健体育科(総合得点730[換算内申57-偏差値53]も備えている点がユニークだ。かつては新宿よりも人気校だったのだが、足踏みしている内に追い抜かれつつある。