国際高校の校舎生徒の多様性では群を抜いている「国際」

進学校不足の世田谷、その理由は

 人口が90万人を超え、たいがいの政令指定都市よりも巨大化した世田谷区。だが、都立の上位進学校が足りない様子が垣間見える。それはなぜなのだろうか。

 現在の三番手校のような立ち位置だった23群には、戦後生まれの広尾(1950年創立)、 創立100年の伝統校である目黒(旧制第3市立高女)、そして同じく目黒区にあった都立大学附属が名を連ねていた。旧第2学区には人気校が多い。新宿もそうだが、広尾、国際、青山、目黒と高倍率校が並んでいる。

 都立大学附属は2011年に都立桜修館中等教育学校に引き継がれた。私立校の中学受験はしなくても、世田谷区の小学生が多く記念的な意味も含めて受験する人気校になった。また、国立の東京学芸大学附属も世田谷区内にある。

 また、成績上位層は地下鉄に乗り入れている私鉄に乗って都心部の難関・上位校に進学することも多く、地元のニーズがあまり育たなかった。

 単位制の芦花が偏差値を上げて、何とか50になっている。過去には、有名デザイナーによる紺ブレザーにチェックスカート、リボンという王道の制服ですごい女子人気に沸いた桜町(旧制11高女)も、ルーズソックス全盛期の着こなしに合わせられず、1年限りのブームに終わった苦い思い出もある。

 新宿区にあった赤城台(旧制20高女)の跡を継いで、1989年に創立された国際。新宿と駒場に挟まれた位置を維持しているが、偏差値では測りきれない特別な学校である。校地は国立や私立の人気校が集中している目黒区駒場にあり、世田谷との区界にある。道一本西側にできていたら、世田谷区で一番の都立進学校になっていたことは間違いないのだが。

 2015年からIB(国際バカロレア)コースも設置しており、校名の通り、国際化の進展度合いでは他の追随を許さない。海外大学への直接進学者も多く、時代の先端を走る人気校だ。港区に新国際(仮称)ができるのは数年先になりそうで、国際の人気は当面衰えないだろう。