突き上げを食らうリーダーの「2つの共通点」
もし「専門知識がないために突き上げを食らう」と感じているのなら、それは正確には「専門知識のなさゆえに自信がなく、あやふやな言動に終始して、(1)進むべき方向を示せず、(2)進むべき方向に組織を動かせていないから」ではないでしょうか。
専門知識がなくても、スキルがなくても、チームが向かうべき方向を示すことはできますし、進むべき方向に組織を動かすこともできるからです。
ある食品メーカーの営業所長は、生命保険業界からの転職組でした。食品業界の知識に疎く、専門用語もチンプンカンプン。営業所員は最初「ど素人がいきなり営業所長になるなんて、大丈夫かよ……」と不安でしたが、所長は自らの行動で、所員たちを安心させていきました。
所長は「営業を勉強したいので、助手席に乗せてください」と、毎日所員たちに頼み込み、営業に同行しました。
クライアント先では、所員の営業を聞きながら必死にメモして勉強し、帰りの営業車の中では質問の嵐。答えに納得できなければさらにしつこく聞きます。そのおかげで所員たちは、自分たちが「わかったつもり」でいたことが、実は全然理解できていなかったことに気づきました。
所長は、会社の経営理念や行動指針についても、納得するまで何回も質問を繰り返しました。所員のひとりは当時を振り返り、こう語ります。
「所長と話していると、自分たちが営業するうえで大切にしなければいけないものは何かを思い出させてくれるような気がしました。所長に就任してから1年たっても、営業の細かな部分では自分たちのほうが凌駕していた。でも『営業マンが何を大切にして行動するべきか』は、所長がいちばん理解していました」
今のあなたに本当に必要なのは、細かな専門知識やスキルではありません。「進むべき方向」を部下に対してわかりやすく示し、その方向へチームを動かす力なのです。