日産の副COOになることが決まった時には職務を全うするつもりでした。ですが、私ももう58歳。日本電産からは社長含みの移籍を打診されており、経営者として最後に挑戦してみたくなったのです。辞める理由は、社長として辣腕を振るいたかったから。それだけです。

──確かに、このまま日産に残っても社長になる芽はありませんもんね。しかし、生産、購買、中国に通じている関さんが上層部から抜けると、日産の経営は混乱してしまうのでは。

 日産には18万人の従業員がいるんですよ。非常に優秀な人材が多い会社です。私がひとり抜けたぐらいで経営がぐらつくなんてことはありません。

 日本電産の永守重信会長からは何度も熱心にお声がけをいただきました。2度ほどお断りしていたのですが、誘いをお受けすることにしたのです。

──内田誠・日産社長や西川廣人・日産取締役らに退任の意向を伝えた時はどのような反応が返ってきましたか。

 内田社長、アシュワニ・グプタCOO、西川さん、社外取締役などすべての主要経営メンバーに意向を伝えました。一様に驚いていたのは事実です。

 内田社長は「本当ですか。もう決断は変わらないのですか」と言ってくれましたが、「すべて自分のわがままである。日産を愛しているし恨みもないが、少し違った道を歩んだだけだ」と応じました。

──正式な退任日は年内ですか。

 まだ協議中です。早ければ12月末の退職になると思いますが、私は指名委員会の選考を経て選出されているので、手続き上の問題があるかもしれません。いずれにしても、2月にも日本電産へ入社します。