「さりげなく」ほめる方法

「毎日、定時の10分前にはしっかり出社しているね」「会社を出る前に必ず、机の上をきれいにしているね」「さっき、床に落ちていたゴミを拾ってくれたね」など、部下の人間性にまつわる行動に着目すれば、ほめる部分は必ず見つかります。

「マイナス部分が多く目に入る」状態では、業績も目標に達していないことがほとんど。企画書や提案書にも粗あらが多く、取引先への営業提案もままならない……そのような状況で、無理やり「仕事」に直結するいいところを捻出しようとしても、どこかに嘘が入ります。ならばいっそ「仕事」から離れ、部下という「人間」をまるごとほめるのです。

 リーダーが直接、部下の行動を逐一観察していなくても、メンバーから「あいつはいいことをしていた」という情報が入ってくることがあります。

「応接室の時計が遅れていて誰も気づかなかったのに、あいつは気づいて電池を入れ替えていましたよ」「突如、オフィスに大きな蜘蛛が出たのですが、あいつが率先して事に当たり、外に逃がしていましたよ」

 こんな話が耳に入ってきたら、ほめるチャンスです。即座にほめましょう。ほめ方のコツは、「タイムリー」かつ「事実に基づいて」ほめること。

「タイムリー」とは、直接見た場合は「見た瞬間」、人づてに話を聞いた場合は「話を聞いてすぐ」を指します。「2週間前、オフィスのゴミを拾ってくれていたね」では遅すぎますし、「先週、『よく応接室の時計の電池を替えてくれた』ってあいつがほめていたよ」でも遅すぎます。

 人間として「いいこと」をした瞬間に、その「いいこと」をほめる。これを積み重ねていけば、さりげなく部下をほめる習慣が身についてきます。