いちごアセットマネジメントをスポンサーに迎えるJDIは、白山工場の売却を巡って、台湾・鴻海精密工業傘下のシャープと交渉を始めた。「日の丸大統合」の機は熟したか。そのシナリオを実現させる鍵を握るのは、またも米アップルだ。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
JDIの命運握る白山売却交渉
いちごアセットが最終判断へ
「普通に経営してくれればいい。あとはわれわれがサポートする」
米アップル調達担当副社長のトニー・ブレビンス氏は、いちごアセットマネジメントのスコット・キャロン社長に、ジャパンディスプレイ(JDI)の経営再建に期待を込めてアドバイスを送った。
今やアップルにとって、キャロン氏こそJDIを代表する人物だ。同氏がJDIの共同代表に就任するのはいちごアセットの資本参加が実現してからであるが、すでにアップルからの信頼を得つつある。
同時にキャロン氏は、ブレビンス氏からJDIの命運を握る重要な決断を迫られている。
「とにかく身軽になってほしい」
それが、iPhone用液晶を製造する主力拠点の白山工場(石川県白山市)の売却だ。そしてアップルは、それを宿敵のシャープに転売することを計画している。
果たしてアップルは敵なのか、味方なのか。キャロン氏は今後、米国、日本、アジア各国の競合や市場環境の複雑な因果関係の中で、その決断を下すことになる。