スポンサー離脱騒動の真っただ中の2019年9月27日付で就任したジャパンディスプレイ(JDI)の菊岡稔社長は、いちごアセットマネジメントと金融支援の最終交渉に臨む。第三者委員会による不正会計調査の見通しが不透明な中で、資金調達を完了して債務超過を解消できるのか。独占インタビューで聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)
いちごアセットの出資で
アップルも喜んだワケ
――スポンサー交渉は、いちごアセットマネジメントの支援を受ける方向になりましたが、2019年4月に台湾・中国の支援連合、Suwaインベストメントホールディングスと基本合意して以来、二転三転した交渉をどう振り返りますか。
ものすごく時間がかかってしまいました。Suwaとの交渉では、台湾・中国のパートナーと組む意義は感じていて、仮にその傘下に入ることになっていたら、グローバルに事業が展開できるというプラスの面もあったのかもしれません。
一方で、外国のコンソーシアムの傘下に入るとなれば、従業員も漠然と不安を抱いたかもしれない。もしも、台湾・中国連合の資本が入ることになっていたら、経営陣が相当丁寧に従業員に説明しなければならないだろうということは覚悟していました。
それでも今回は、結果的に、いちごアセットに収まる可能性が高まったわけで、引き続き日本企業としてやっていけることになりそうです。
彼らは、日本でジャパンディスプレイ(JDI)の技術を育んでほしいという望みがあり、そのために支援してくれようとしている。そして、JDIに長期投資を行い、事業再生にコミットしてやっていくという意向を示してくれた。これほどありがたいパートナーはいません。
――Suwaよりも、いちごアセットになって良かったですか。