米国務省は「イラク戦争に関係する戦闘で米兵608人以上がシーア派民兵組織などイランの代理勢力により殺された」とし、ソレイマニ司令官がそれを指揮していたと主張する。 

 イラク戦争では米兵約4500人が死亡、イラク民間人の死者は12万人以上(60万人以上との推計もある)とされる。

 だがこれは米国が「イラクは大量破壊兵器を今なお保有している」との虚報を信じ、国連安保理でそれが否定されると、安保理の容認を得ずにイラク攻撃を行った結果だ。 

 これまでも米軍とCIAは、パキスタン、アフガニスタン、イエメンなど各地で、無人機から発射する空対地ミサイルや特殊部隊の潜入などにより反米的な過激派勢力を攻撃、その幹部を殺害して来た。

 地元政府の承認を得ずそうした武力行使をするのは明らかに主権の侵害だ。

 もし米国で他国が同様な行動をすれば米国は怒り狂うだろうが、米国はそれを「テロとの戦い」の戦果として誇ってきた。

 ソレイマニ司令官は「イスラム国」討伐で活躍して、イランで英雄視されていた。殺害はトランプ大統領の命令で行われたことは、大統領自身が述べている。

 従来そうした武力行使が公然のように行われてきたから、その一環と思ったトランプ氏はイラン側の激しい反発を招くとは予想しなかったのだろう。

 トランプ大統領は諫言する側近を次々に排除し、議会にもはからず恣意的な言動をするため、危険な独裁者の面もある。

「核戦争」の可能性は
「ゼロ」に近い

 イラン最高指導者ハメネイ師は殺害が起きた当日、「厳しい報復」を宣言、トランプ大統領は「イランが報復に出れば反撃し、52目標を破壊する」と威嚇し報復合戦は不可避の形勢となった。

 米国のメディアでは「第3次世界大戦」「核戦争」という極端な見出しも現れた。

 私は日本のテレビ局や新聞、雑誌などからその可能性について問い合わせを受けたが「あまりにもばかげた話」と笑ってしまった。