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みずほ証券の投資銀行部門に所属する社員によるインサイダー取引疑惑が浮上し、証券取引等監視委員会が強制調査に乗り出したことが明らかになった。2月には三田証券の元取締役投資銀行本部長がインサイダー取引の疑いで逮捕されたばかり。なぜ投資銀行でインサイダー取引が繰り返されるのか。そこには投資銀行のビジネスモデルが持つ構造的な原因と、「市場の番人」である監視委が金融エリートの牙城に狙いを定めた明確な意思がある。長期連載『金融インサイド』内の特集『インベストメントバンカー M&A請負人の正体』の#4でそれを明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史、高野 豪)
「市場の番人」が突き付ける最後通牒
インベストメントバンカーの聖域にメス!
証券取引等監視委員会は1月下旬、金融商品取引法違反の疑いでみずほ証券本社などを強制調査しており、押収資料を基に刑事告発を視野に入れた全容解明を進めている。
同社は2月16日、「証券取引等監視委員会から、当社に対して調査が行われていることは事実ですが、現在も調査が進行中のため、コメントは差し控えさせていただきます。当社は引き続き、証券取引等監視委員会の調査に全面的に協力してまいります」とコメントした。
金融業界では近年、不祥事が相次いでいる。
2024年以降、東京証券取引所の元社員、金融庁出向中の元裁判官、三井住友信託銀行の元社員といった、市場のルールを守るべき当事者によるインサイダー取引が噴出。そして26年2月には、ニデックによる牧野フライス製作所へのTOB(株式公開買い付け)でインサイダー取引に関わったとして、東京地検特捜部が三田証券の元取締役投資銀行本部長、仲本司容疑者ら3人を逮捕した。
「金融市場を食い物にしてきた悪質な嫌疑者に対して逃げ得を許さず、ついに刑事告発まで追い詰めることができた」
2月19日、仲本容疑者らを地検に刑事告発した監視委幹部はそう明かす。
監視委によれば、TOB公表前の24年9~12月、3人が共謀して買い付けた牧野フライス株は32万9100株、額にして約23億4980万円に上る。史上3番目の巨額インサイダー事件とされ、前出の幹部は「買い付け規模の巨額さもさることながら、市場公正を著しく害する極めて重大悪質な事件だ」と怒りをにじませる。
その監視委が今回、新たに強制調査に踏み切ったのが、みずほ証券の投資銀行部門だ。企業のM&A(合併・買収)や事業再編という市場の最重要情報を握る投資銀行部門に対し、明らかに照準を合わせている。
そこには、投資銀行というビジネスモデルそのものが抱える「逃れられない誘惑」と「構造的病巣」が潜んでいるからだ。次ページでそれを明らかにする。







