家電が厳しいのは、つまりテレビが厳しいということです。事業部は厳しいと分かっているんです。分かっているのに、まだテレビを売ろうとしているから駄目なんです。

 だから、そこ(テレビ事業)だけは許さないです。許さない……。前から、そんなことでは駄目だと言っていたわけやし。

──なぜ事業部では、駄目なことがまかり通ってしまったのですか。

 それは誰かが甘いことを言うたからでしょうな。収益性もあったように見えていたのですが、結局、売上高ばかり追って、販売会社の利益を薄めて十分に稼げていなかった。だから、テレビの戦略が間違っていたんでしょう。

──津賀さんの言い方が人ごとのように聞こえるのですが、それは無責任なのではないでしょうか。

 いやいや、そんなことないんです。事業計画の割り当てはカンパニー長の責任範囲ですから。全てのカンパニーの全ての事業部の責任を負うことなんてできません。

パナソニック津賀一宏社長つが・かずひろ/1956年11月14日生まれ(63歳)、大阪府出身。大阪大学基礎工学部卒業後、松下電器産業(現パナソニック)入社。開発畑でキャリアを重ね、2004年に役員就任。オートモーティブシステムズ社、AVCネットワークス社社長を経て、12年に創業者一族を除き最年少で社長に就任した。冷徹な合理主義者で知られるが、「厳しくなり切れず情が厚い」(パナソニック幹部)との人物評もある。Photo:Bloomberg/gettyimages