創業101年の名門電機、パナソニックに「老衰」の危機が迫っている。製品・ビジネスモデルの変化に対する遅れ、人事の硬直性、事業部の縦割り、経営上層部の劣化──。これらの“老化症状”がパナソニックを蝕み、事業領域を担当する五つのカンパニー全てで成長戦略を描けない異常事態に陥っているのだ。
津賀一宏・パナソニック社長は就任8年目。プラズマテレビを切り捨て、BtoBシフトへと舵を切る変革に打って出た津賀社長のシナリオはどこで狂ったのか。病巣はどこにあるのか。徹底検証した。
巨艦・パナソニックの“老化症状”は、日本の多くのレガシー企業も抱えているものであり、対岸の火事ではいられないはずだ。特集「パナソニック 老衰危機」は初回の1月6日(月)から10日(土)まで、全10回の連載を予定している。
#01:1月6日(月)配信
パナソニックが家電部門の本社を中国に移転、狙いは伏魔殿の解体【スクープ】
自動車事業を家電事業に代わる“次世代の本業”に据える目算が狂った津賀社長が、ようやく一つの「突破口」を見出そうとしている。パナソニックの保守本流、家電部門にも解体的出直しを迫る「背水の新モデル」とは何か。
#02:1月6日(月)配信
パナソニック津賀社長激白「もう許さない。モグラ叩きはおしまい」
ロジカルな合理主義者で知られる津賀社長が、ついにキレた。新中期戦略を策定し直し、カンパニーごとの放任管理を停止、再び本社による経営のグリップを強めているのだ。沈む巨艦をいかに浮上させようとしているのか。津賀社長を直撃して聞いた。
#03:1月7日(火)配信
パナソニック全カンパニー沈没の大誤算、日立・ソニーと明暗を分けた「元凶」
パナソニックには世界で勝てる製品・サービス、ビジネスモデルが欠如しており、集中投資するべきコア・コンピタンスが見いだせていない。2019年3月期に過去最高の営業利益を計上した日立製作所・ソニーと明暗を分けたものは何だったのか。
#04:1月7日(火)配信
パナ「街のでんきやさん」が絶体絶命、売れ筋商品の補聴器が赤字垂れ流し
“家電王国”パナソニックに崩壊の足音が迫っている。リーマンショック以降、瀕死の競合家電メーカーが脱落した一方で、白物家電に強いパナソニックは残存者利益を享受し、抜本改革に着手することはなかった。だが今、その付けが回ってきている。
#05:1月8日(水)配信
パナソニック「働かなくても年収1500万超」幹部に迫る大リストラ
大企業病を根治する手っ取り早い方法は人事改革だ。昨年、パナソニックは執行役員数を4分の1に削減。執行役員からの降格組を含む「事業執行層」が140人に膨れ上がった。年収1500万円超の幹部人材のリストラ観測が浮上し、社内に激震が走っている。
#06:1月8日(水)配信
パナソニック、津賀社長の後継候補3人への「寵愛」に社内は白けムード
終盤戦に入った次期社長レースは、有力候補3人に絞られつつある。もっとも、社内に「津賀社長のR&D人脈や外部人材ばかりが重用され、お友達人事がまかり通っている」との不満があるのも事実。透明性と納得性ある人材登用法が求められている。
#07:1月9日(木)配信
パナソニックの金食い虫「自動車事業」売却の危機、“松下銀行”も今は昔
パナソニックの自動車事業は19年3月期に売上高2兆円を突破し本業に躍り出ているはずだった。三洋電機の買収と、総額1兆円の戦略投資の優先配分――。今や金食い虫と化した自動車事業は、単独での生存すら危ぶまれる状況に追い込まれている。
#08:1月9日(木)配信
ガンバ大阪、ラグビー…金欠病のパナが「企業スポーツ」を続ける意外な理由
「もはやパナソニックには事業に潤沢に投資するキャッシュがない」――。そう複数の幹部が口を揃えて危機感を表す割には、パナソニックは運営コストが高い「企業スポーツ」を積極的に続けている。企業スポーツ活動の“費用対効果”を解き明かした。
#09:1月10日(金)配信
パナソニック凋落を四大ランキングで検証、電機22社の「経営力」格差
経営者の就任期間における株価騰落率や投資余力など「四つのランキング」を用いて、電機22社の「経営力」を比較した。リーダーシップのある経営者、強いビジネスモデルを持つメーカーが存在感を発揮し、パナソニックにとってシビアな結果となった。
#10:1月11日(土)配信
パナソニック緊急再生計画、次なる「買い物・売り物」事業はどれだ?
昨年末、液晶パネル事業と半導体事業からの撤退を立て続けに決めたパナソニック。強いビジネスモデルを築くために、今後はどの事業を「売却・撤退」し、どの事業を「買収」するべきなのか。編集部独自の「勝手再生計画」を策定してみた。
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