8万部を超えるベストセラーとなっている山口周氏の『ニュータイプの時代――新時代を生き抜く24の思考・行動様式』。同書にも詳しいが、次の時代に求められる「優秀さ」では、「感性」が大きなカギになると山口氏は言う。その感性を磨くために世界のエリートが今身につけようとしている素養とは?(構成:塚本佳子)

この記事は、2019年12月4日に京都造形芸術大学の東京・外苑キャンパスにて開催された、通信制大学院 学際デザイン研究領域MFA開設記念特別講義を再構成したものです。

第1回:https://diamond.jp/articles/-/226432
第2回:https://diamond.jp/articles/-/226435

これからの時代、MBAでは戦えない

山口周(以下、山口):第2回で「正解を出すこと」は人工知能にとって代わられるという話をしましたが、それでは、人間の能力はこれからの時代どこで発揮されるのか?

それが「アート(感性)」です。人工知能は正解を出す能力には長けているけれど、意味を理解することはできません。意味を理解できないということは、情緒やロマン、ストーリーを紡げないということです。人工知能はサイエンス側の仕事とはそりがいいし代替が可能だけど、アート側の仕事はできません。

「アート(感性)」は現代の「錬金術」と言い換えることもできます。錬金術とは資源ゼロから意味を作り出すことです。意味を作れた人は、創意工夫やエネルギー、モチベーションなどを、どんどん人から引き出して、大きな価値を作ることができます。問題を見つけて、意味づけをし、情緒やロマン、ストーリーを生み出す。これこそが今後、人間に求められることなのです。

優秀な人材を育成するためには、トレーニング(教育)が必要になりますが、繰り返すように現在の教育は「サイエンス」寄りで、「アート」視点でのトレーニングができるのは、現在2つしかありません。1つは「哲学」。哲学とは、まさに問題を見つけることです。もう1つは「アート」。アーティストたちは正解を出すことを求められてはいません。