バルセロナのオファーを断り
ヴィッセルに残る道を選ぶ

 バルセロナ時代はほとんど無縁だった「黒星」を甘んじて受け入れ、捲土重来を期す糧に変えてきた過程で愛着をも抱いたのだろう。つかの間のオフを利用して帰国したスペインで、あるイベントに参加したイニエスタは「ヴィッセル神戸で引退したい」と、胸中に秘めた思いを初めて明かしている。

 さらには不振にあえぐ古巣バルセロナが、1月の移籍市場で期限付き移籍のオファーを介して復帰を打診。名門の再建を託したものの、ヴィッセルで新たな歴史を作る道を選んだイニエスタが断りを入れていたと、スペインの国内メディアが2月に入っていっせいに報じた。

 2021シーズンまで契約を結ぶヴィッセルをさらに成長させながら、J1、YBCルヴァンカップ、連覇がかかる天皇杯、そして頂点に立った先に世界の舞台が待つACLを戦う。託された役割の大きさをモチベーションへと変えている、イニエスタの胸中を推し測る上でぴったりの言葉がある。

「サッカーとは自分の情熱であり、自分の人生そのものでもある。日本に来てから新しいサッカー、新しいチーム、新しい仲間たちとの絡みの中で成長してきた実感があるし、家族を含めて、日本で過ごす時間を心の底から楽しんでいる。今シーズンはACLを含めて自分のベストのバージョンというものをお見せしたいし、日本の皆さんにも自分のプレーを楽しんでほしい」

 バルセロナを退団した時には、さまざまな国のクラブからオファーが届いた。愛してやまない古巣と対戦する可能性があるヨーロッパ諸国以外を候補に、レベルが保たれ、しっかりと運営されているリーグを条件に掲げた中でヴィッセルを選んだ。前出のカンファレンスで、カズによればイニエスタはこんな言葉を残している。

「僕のチョイスは間違っていなかった、と言っていましたね。日本は非常にいいレベルにある、と」

 J1開幕に先駆けて19日には敵地・韓国に乗り込み、水原三星ブルーウィングスとのACLグループリーグ第2戦に臨む。日本に魅せられ、Jリーガーとしてキャリアを終えたいと望むレジェンドは、今ではヴィッセルでの挑戦をこう位置づけている。「もちろん、勝つためのプロジェクトだよ」と。