「20世紀アートを切り開いたスゴい作品」で考える、私たちの知覚の「ざんねんな現実」(本画像にはぼかし処理を加えています。実際の作品は『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』でご確認いただけます)

1869年にフランス北部の田舎町で生まれたマティスは、パリの大学で法律を学び、法律事務所に勤務していました。
彼がアートに目覚めたのは20歳のとき。虫垂炎になり、療養中の暇つぶしに母が画材を用意したのがきっかけでした。
その後、アカデミー・ジュリアンという美術学校で油彩画を学び直し、20世紀半ばに没するまで数々の作品を世に送り出しています。

ところでみなさん、マティスの絵を見てどう感じましたか!? 
果たして「すばらしい!」と思ったでしょうか?
「ヘンなことをいうと笑われそうだ……」と気になるかもしれませんが、まずは率直に、見たまま、感じたままの感想を口にしてみましょう。

「すごい画家といわれて期待していたけど、正直うまくない……」
「なんか、雑……」
「女性ということだけれど、かなり男顔」
「こんなふうに描かれて、マティスの妻は怒ったんじゃないかな」
「色使いのセンスがあまり好きじゃない」

みなさんから出てくる言葉は、この絵の現在の評価とはだいぶ違っているようです。

ところであなたは、たったいま、《緑のすじのあるマティス夫人の肖像》をどれくらいよく見ましたか? じっと見ていた時間は、何秒間くらいだったでしょうか? 
確認するために、私から1つクイズを出しましょう。