論理もデータもあてにならない時代、論理・戦略に基づくアプローチに限界を感じた人たちのあいだで、「知覚」「感性」「直感」などが見直されつつある。そんななか刊行され、各氏がこぞって大絶賛するのが、『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』という書籍だ。

現役の美術教師でもある著者が、中高生向けの「美術」の授業をベースに、「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、「自分なりの答え」を生み出し、それによって「新たな問い」を生み出すという「アート思考」のプロセスをわかりやすく解説している。700人超の中高生たちを熱狂させ、大人たちもいま最優先で受けたい授業とは――?

「20世紀アートを切り開いたスゴい作品」で考える、私たちの知覚の「ざんねんな現実」photo: agcreativelab - stock.adobe.com

「すばらしい自画像」を描いてみてください

あなたはアート作品を見て、「すばらしいなあ」と感じたことはありますか?
「ある!」という方は、とてもいい鑑賞経験をお持ちなのだと思います。

それにしても……「アート作品がすばらしい」というのは、そもそもどういうことなのでしょう? 作品がどんな要素を持っていれば、「すばらしい」「すぐれている」という評価になるのでしょう? 
今回からは「『すばらしい作品』ってどんなもの?」という問いを中心にして、探究の冒険をスタートさせてみたいと思います。

さっそくですが、これについて「実感」を伴って考えていただくために、エクササイズを用意しました。よろしければ、ぜひ実際に手を動かしてみてください。

[やってみよう]自画像を描く
「鉛筆」と「紙」と「鏡」を用意して、自画像を描いてみましょう。

描き方について私からアドバイスは一切しません。
自分なりのやり方で、自分の顔を描いてみてください。

それではやってみましょう!