一方、言語野があり、高次認知機能、コミュニケーションをつかさどる前頭葉については、遺伝の影響がおおよそ5~6割に限られていることがわかってきました。まったく遺伝の影響がないわけではありませんが、努力をすれば十分に伸ばすことができることを意味しています。つまり、語学の能力は生まれ持った才能ではなくて、自分の努力でどんどん伸ばすことが可能であるというわけです。

 遺伝ではなく環境の影響が強いということは、ヨーロッパ大陸に行くとよくわかります。かの地ではドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語をはじめ、さまざまな言語が話されていますが、興味深いのは、国境地帯では隣り合う地域の言語を含めて、2カ国語、3カ国語を自由に操る人が多いことです。このように、住んでいる環境によって何カ国語も話す必要が出てくるため、個人個人が努力した結果と考えるのが自然だと思います。

 こうした人たちに対して、私たち日本人のほとんどは、生まれたときから周囲の人がみな日本語を話していますし、日常生活は日本語で不自由しません。外国語に接する環境がなかったために、外国語を習得するのが苦手だと感じてしまうのでしょう。

 ですから、「自分は語学脳がないから」などと悲観するのではなく、「楽しく努力すればいくらでも向上する余地がある」とプラスに考えてみましょう。それぞれの個性やこれまでの経験によって、進み方の早い遅いに多少の差はあるかもしれませんが、やればやっただけの結果が出ます。英語ほどフェアな能力はないと私は思っています。

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