安倍首相Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

3月の月例経済報告
「回復」を削除、“景気後退”濃厚

 内閣府は26日発表した3月の月例経済報告で景気の総括判断を「新型コロナウイルス感染症の影響により、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」と大幅に下方修正し、「回復」の文言を削除した。

 月例の景気判断は、昨年春以降、米中貿易摩擦や消費増税の影響で経済指標が悪化、昨年10-12月期の実質GDPが大幅マイナスになる中でも、「戦後最長景気」維持を御旗にする安倍政権のもとで微修正でとどめられてきた。

 新型コロナウイルス問題で、“忖度景気判断”も一気に修正を余儀なくされた形だ。景気は後退色が濃厚になった。

 これまで総括判断では 2018年1月以降、ずっと景気は「緩やかに回復している」としていた。また「回復」の文言は2013年7月の月例報告以来、盛り込まれてきたが、6年9カ月ぶりに削除された。

 個別の項目では、個人消費や設備投資、業況判断など、14項目のうち7項目が下方修正され、政権が景気回復の証としていた雇用も「改善している」(2月)から「改善してきたが、感染症の影響がみられる」と、判断を引き下げた。