そのときに私が利用した駐車場ウェブ予約は、「タイムズのB」というサービスだ。本書『「タイムズ」が切り開くクルマと社会の新たな未来』によると、このサービスは2016年にスタートしていた。
タイムズパーキングは、パーク24株式会社が運営する24時間無人時間貸駐車場である。全国各地に展開しており、現在国内の総運営台数が約76万台。第2位の「三井のリパーク」の3倍以上という、ダントツのシェアを持っている。
本書では、パーク24のさまざまな取り組みを詳しく紹介している。日本初の24時間無人時間貸駐車場サービスを始めた経緯とその後の歩み、そして近年のカーシェアリング事業への参入やモビリティソリューションの提供や街づくりへの貢献までを網羅する。
著者の鶴蒔靖夫氏は評論家。フリーライター、雑誌『人物評論』編集主幹を経て、著述活動に入る。放送9100回を超える長寿番組、「こんにちは!鶴蒔靖夫です」(アール・エフ・ラジオ日本)のパーソナリティも務めている。
電車、バス、自動車…移動サービスを統合
「MaaS」で高まる利便性
パーク24を、単なる「どこにでもある便利な駐車場サービス」だけの会社と侮ってはいけない。実は同社の取り組みは、私たちの生活の利便性を大きく向上させる可能性を秘めているのだ。
パーク24グループは、MaaS(Mobility as a Service)の実現に、積極的に関わっている。
MaaSとは、いろいろな種類の交通サービスを「1つの移動サービス」に統合して捉えること、もしくは統合されたサービスを指す言葉だ。電車、バス、自動車などの交通機関や宿泊施設などをシームレスにつなぎ、利便性を高めることを指す。
例えば、各種交通機関と観光資源を融合した統合型サービスを実現する「観光型MaaS」というものがある。利用者は、交通手段や発着時間などの探索から飲食や宿泊の予約、決済までのすべてを1つのスマートフォンアプリで、統合的に行える。
JR西日本の「せとうち観光アプリ『setowa』」がその代表格だ。また「観光型」ではないが、小田急電鉄は他に先駆けてMaaSアプリ「EMot」によるサービスを開始している。いずれも複合検索機能が提供されるとともに、鉄道情報に加えて到着駅からの2次アクセス(バス、船舶、タクシー、レンタカー、カーシェアリングなど)を含めたきめ細かな情報が表示される。