パーク24ではこれらのMaaS事業に参画し、それぞれのアプリから沿線の駅での「タイムズカーシェア」車両の空き情報の検索や予約の機能を提供している。

 この「タイムズカーシェア」は、パーク24が2009年に参入したカーシェアリングサービスだ。現在約130万5000人の会員を持ち、47都道府県をカバーする約1万2000カ所にカーステーションを展開している。

 利用者はウェブでクルマの予約、解錠、施錠、決済まですべて済ませられるので、非常に便利だ。

「カーシェアリングを第4の交通インフラに」
パーク24グループの挑戦

 MaaSに関して、パーク24の代表取締役社長、西川光一氏は「鉄道が大動脈なら、カーシェアリングは毛細血管である」とし、「カーシェアリングを、鉄道、バス、タクシーに次ぐ第4の交通インフラにする」というビジョンを公言している。

 そしてそのために、「人」「クルマ」「街」「駐車場」の4つによるネットワークの拡大とシームレス化をめざすという。

 西川氏によれば、たいていの場合、クルマを駐車する行為は、仕事に行く、買い物をする、食事をする、美術館に行く、観光をする、といった「目的」とワンセットだ。

 そうした目的を果たす場所も、パーク24グループのサービス対象と捉え、切れ目のないシームレスなサービスを提供する。そうすれば、自社の顧客満足度も上がるとともに、目的地である「街」の活性化にもつながるというのが、西川氏のビジョンだ。

 例えばパーク24は、「たのしい街」という取り組みをすでに始めている。「タイムズパーキング」の駐車券を持参して提携店で買い物や食事をすれば、パーキングのサービス券が入手できるというものだ。

 駐車場利用者は、サービス券がもらえるからその店で買い物をしようと思う。また、その店を利用したい人は、少し駐車場が遠くてもタイムズを選ぶようになる。

 こうしたパーク24グループのさまざまなサービスの基盤となり、西川氏のビジョンにおいても重要な役割を果たすのが、「タイムズクラブ」である。2019年10月時点で約800万人の会員を持つ、入会金・年会費無料の、ドライバーを対象とした会員組織だ。

 パーク24は、2018年から店舗向けのキャッシュレス決済サービス「Times PAY」を開始しているのだが、タイムズクラブの会員はTimes PAYを導入した店舗でキャッシュレス決済を行うと、独自のポイントが付される。

 また、「タイムズカーシェア」の利用者は自動的にタイムズクラブ会員となるのだが、会員がカーシェアを利用すると、各車両のGPS機能により、どこをどのように走ったかなどのデータが蓄積される。

 そして、その会員がTimes PAY導入店舗でキャッシュレス決済を行えば、その人が目的地でどのような消費行動をしたかも把握できる。

 これによって例えば、目的地近くを走る会員が興味を持ちそうなイベント情報やお買い得情報を、リアルタイムでカーナビなどに届けることも可能になるという。

 こうしてパーク24グループは、クルマを介して人と人、人と街、街と街をつなげるITサービス企業へと進化し、新たな時代の街づくりをサポートしようとしているのだ。