SNEXTの新ブランド「ag」の新製品

 左右が完全に独立したタイプのBluetoothイヤフォンは、「トゥルーワイヤレスイヤフォン」とも呼ばれ、2016年頃から徐々に数を増やしてきた。

 特に2018年、2019年は豊作で、いまでは、イヤフォンを開発するほとんどのオーディオメーカーがラインアップに加えている。昨年は、アップルが高品質なノイズキャンセリングを搭載した「AirPods Pro」を発売し、話題になった。

コロンとしたフォルムがかわいらしい

 ここまで数が増えてくると、市場としては飽和状態とも言える。はじめて買う人なら、どれを選べばいいのか、分からなくなってしまっても無理はない。

 高いものを買って失敗するのは困るし、安価すぎても品質に不安がある。そう考える人たちに、いまオススメしたい製品がagの「TWS02R」だ。

パッケージも品よくまとまっている

ファッションを邪魔しないさり気ないイヤフォン

 agは、「final(ファイナル)」を展開するSNEXTが2019年末に展開を開始した新ブランド。finalというブランドは、素材や工程に拘った丁寧な製品づくりと音質で、オーディオファンから注目を集め続けている。そのSNEXTが手がける新ブランドというだけあって、agは、ヘッドフォン祭などの国内大型展示イベントでも注目を集めていた。

 TWS02Rの実売価格は8500円前後。finalは幅広い価格帯をラインアップするブランドであり、15万円、20万円というクラスのイヤフォンをリリースする一方で、2000円台のモデルも用意し、入門機からマニアのオーディオ機まで揃う懐の広さがブランドの魅力のひとつとなっている。

 「finalを展開するSNEXTが手がけたトゥルーワイヤレスイヤフォン」という視点で見ると、TWS02Rの実売価格は非常に良心的に思える。外装面など、目に見える部分をすこしコストアップし、高品位感を演出した上で、2万円台、3万円台という価格帯で販売する選択肢もあったはずだからだ。

カラーバリエーションは6色。中間色が美しい

 本機の場合、充電ケース、イヤフォン本体共に、細かな粒子を吹き付ける「粉雪塗装」で、ざらっとした質感にまとめている。特別に高級感があるというわけではないのだが、センスよくまとまっていて、愛着を持って使い続けられるデザインだと感じる。また、皮脂汚れが目立ちにくいという実用的なメリットもある。

 カラーバリエーションも6色展開と豊富で、いずれもグレーが混ざってくすんだような中間色。試用した「RED」は、くすんだ赤色で、ファッションや年代を問わず、さり気なく着用できる色味。

 こうした赤色は、オーディオ製品には珍しいと思う。ビビッドな赤色か、もっと深い真紅はたまに見かけるが、年齢や服装によっては、イヤフォンが「変に目立ってしまう」こともある。TWS02Rは、どのカラーを選んでも、落ち着いた色味なので、純粋に好きな色を選んでも、ファッションにうまく馴染んでくれるだろう。

イヤフォン本体もケースと同じ、ざらっとした質感

final譲りの素直でフラットなサウンド

 音質にも触れたい。パッケージには「final オーディオブランド監修 高音質仕様」と記載されている。finalというブランドは、色付けの少ない素直でクリアな音や、細かな解像感で評価されているブランドだが、本機も系統としては似ている。

 イヤフォンの音質は、大まかに分けると、音を鳴らす振動板(ドライバー)の大きさや設計、ハウジング(イヤフォン外殻)の空間の設計、そしてそれぞれの品質の高さで決まる。

 したがって、「色付けの少ない音質で綺麗に鳴らす」ためには、一定以上の品質の高さと、優れた設計が必要になる。

イヤーピースはタイプの異なるものを各3サイズ同梱する。耳の穴との密着度によっても、音質が変化するので、最もぴったり合うものを探そう

 人の耳は、中低域にボリュームがあると迫力があると感じ、中高域以上が付加されていると、クリアだと感じる。音の感じ方を決める要素はさらに複数あるが、ここでは説明しない。重要なのは、帯域をうまく調整して「いい感じの音」にすることは、意外にできてしまうという点だ。

 TWS02Rの場合、こうした味付けは最低限。ナチュラルなサウンドで、ソース(音源)に中低域成分が多ければ迫力を感じるし、中高域を持ち上げた抜けのいいボーカルは、透き通って聞こえる。1万円を切る価格ながら、原音を素直に再現できるのは、finalブランドを展開しつつ、他メーカーの設計や製造も手掛けてきたSNEXTだから実現できることだろう。

 スペック的には、再生可能周波数帯域が20〜20kHz、対応コーデックがSBCとAAC、プロファイルがA2DP、AVRCP、HSP、HFPとなっている。連続再生可能時間は本体のみで3時間、バッテリー込みで19時間、連続待受時間が60時間、充電時間は2時間と、バッテリー関係も良好なスペックだ。

モバイルバッテリーとしても使える

USB Type-A端子を備え、ケーブルを接続すれば、スマートフォンの充電などに使えるモバイルバッテリーになる

 さらに充電用のケースがモバイルバッテリーになるという嬉しいギミックも備えている。ちなみに容量は2000mAh。iPhone 11のバッテリー容量は3110mAhなので、iPhone 11ならバッテリーが空の状態から64%ほど充電できることになる。スマートフォン、ワイヤレスイヤフォン、モバイルバッテリーを持ち歩き、それぞれの電源管理をするとなると、けっこう手間だから、それほど大容量のバッテリーが必要なければ、この製品とスマートフォンだけ持ち歩けば十分ではないだろうか。

はじめてのトゥルーワイヤレスとしても
2台目としてもオススメ

 まとめると、ファッションになじむデザインのよさ、素直で真面目な音作り、モバイルバッテリーになる機能性、そしてリーズナブルな価格が本機の魅力だ。

 原音重視の素直な音作りで、買いやすい価格の製品はそれほど多くない。ブランド名は避けるが、他社で同じような傾向の製品を探すと、2万円台から3万円台ほどの予算が必要になってくるから、はじめてのトゥルーワイヤレスイヤフォンとしてはオススメだし、すでに気に入ったものを持っている人が、傾向の違う2台目として購入してもよさそうだ。

 とりあえずの安価な選択肢ということでなく、この価格帯でも音質に優れ、長く愛用できるイヤフォンとして提案したい。しばらく使ってから、他社のもうすこし高価な製品を試聴すると、「俺のTWS02Rも負けてないぞ」と気付くはずだ。

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