銀行の未来の姿に焦点を当てる連載『銀行の近未来』。4月に全国銀行協会会長に就任した三毛兼承・三菱UFJ銀行頭取に、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃や、新たな資金決済サービスの在り方について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 布施太郎)
金融の目詰まり回避に全力
官民でリスクシェアする
――新型コロナウイルスの感染拡大による日本経済への打撃をどう見ていますか。
感染症拡大という危機に対する処方箋に伴う副作用として、経済へのインパクトが生じている。これを緩和し、軽減するために財政政策や金融政策といった経済政策が総動員されている。経済活動の停滞がいつ終息するかは分からないが、これは必ず終息する。経済活動を再開したときに、早く経済が回復していくための手当てが、今行われていると考えている。
銀行界も、金融に目詰まりを起こすことのないように、資金繰りに重大な支障が起きないような対応に万全を期している。今までもセーフティーネット保証や危機関連保証など官民でリスクシェアをしながら資金を提供してきた。今後もその方向には変わりはない。
――リーマン危機のときと今回はどのように違うと整理されていますか。
まだ危機が終わっておらず、現時点での整理は難しい。ただ、今回の危機事象については、過剰に金融機関がリスクを取り、その結果として金融がトリガーとなって経済危機が生じたものではない。今回の危機の原因は未知の感染症拡大であり、リーマンショックとはタイプが異なる。その深さなどがどのように違うのかということは、まださなかにあるため確たることは申し上げられないと思う。