『世界一受けたい授業』など多数のメディアで注目されている“HSP(Highly Sensitive Person)”をご存じでしょうか?「些細なことが気になって疲れてしまう」「真面目すぎる」など、個人の性格だと思われてきたものが、研究によって、実は「生まれつき繊細な人」が「5人に1人」の割合でいることがわかってきました。
発売から立て続けに重版し、累計10万部を突破したHSP専門カウンセラー・武田友紀氏の『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』(ダイヤモンド社刊)では、そんな生まれつきの気質を持つ「繊細さん」が、「繊細さん」だからこそ深く味わえる幸せに気づき、伸ばしていくコツを紹介しています。本記事では、同書より一部を公開します。(こちらは2020年4月11日の記事の再掲載です)

【大反響】「繊細さん」が読んだだけでグッと心が軽くなる3つのことPhoto: Adobe Stock

「雑談が苦手」なのはなぜ?

 共感力の強い繊細さんにとって、まわりの人とのあたたかい交流はひといちばい大切なもの。職場の同僚やママ友などまわりの人と仲良くしたいと思う一方で、「雑談が苦手」「まわりの人と話が合わなくて寂しい」「みんながおもしろがる話題をおもしろいと思えず、盛り上がりに入っていけない」といった声も聞かれます。

 雑談が苦手な場合、いくつかのパターンに分けられます。(無理に雑談しなくてもいいと思いますので、以下は「本当は雑談できたらいいのにな」という方だけ読んでくださいね)

1.実はその人が苦手

 実はその人のことが苦手だったり、話をしても噛み合わなかったり。本音では「相手に興味を持てないし、関わりたくない」というケースです。

 職場の同僚に苦手な人が多い場合、もしかしたら、やりたい仕事ではないのかもしれません。本当は人と話すのが好きで接客や営業が向いている人が、「細かい作業は苦手」と思いながら事務として働いていると、事務の人たちと話が合わず、むしろ営業の人たちと仲がいい、といったケースがあります。苦手なことをしていると、まわりの人たちと価値観がずれやすいのです。

 この場合は、無理にまわりに合わせるよりも、部署外で仲良くしたいと思える人に話しかける、ひとりで気がねなく休める場所をみつけるなど、自分がほっとする過ごし方を探してみてくださいね。

2.深い話をしたい

「深い話をしたい」という思いが強いと、軽い雑談に意味を感じられなくて、雑談が嫌いになることがあります。繊細さんは感じることが細やかで膨大な量があり、深く考えるため、身のまわりに同じ感覚の人が少ない傾向にあります。

 大勢で雑談するよりも少人数で深く語り合いたかったり、仕事の休み時間にはテレビの話をするより業務の改善点について話したかったり、同じ映画をみても自分ひとりだけがものすごく感情移入していたり。話が噛み合わないのは、自分のせいでもまわりの人のせいでもなくて、ただ「考える深さが異なる」「感じ方がちがう」ということがあるのです。

 背の高い人、低い人がいるように、どこまで深く考えるのが「ちょうどいい」のかは個人差があります。これは、優劣ではなくちがいです。どちらがいい、悪いではなく、ただちがう。まわりの人が熱帯魚だとすると、自分は深海魚のようなものなのです。

 もし「まわりの人と話が合わなくて寂しい」「雑談なんて意味ないのに」と思ったら、まずは深海魚仲間を探しましょう。やりたいことをやったり発信したりして、深く話せる相手を探しに行くのです。仕事でもプライベートでも誰かひとり深く話せる相手がみつかると、心が満足して、「たまには軽い雑談もいいよね」と楽しめるようになります。

 繊細な感覚を話せる相手がほしいときは、繊細さんの集まりに行ってみるのもおすすめです。同じ感覚で話せる人がみつかると、ほっとしますよ。繊細さんの集まりはインターネット上で「HSP お話会」「HSP 交流会」などと検索してみてください。全国で開催されています。

3.「自分のことを話しても理解してもらえない」とガードしている

 雑談が苦手な場合、話の内容よりも「相手と心が通じる感覚がしないこと」が寂しさを生んでいる場合があります。育った環境において自分を否定されることが多かったり、深く理解された経験が少なかったりすると、いつのまにか「自分のことを話しても理解してもらえない」という認識になっています。

「思ったことを話してもいいんだ」という感覚がないと、相手に合わせた受け答えになります。なんとなくいつも本音を言えなかったり、聞いてばかりになってしまって、つまらない。会話からエネルギーをもらえるどころか、会話が負担になるのです。

 この場合は、ちょっとした「どうでもいいこと」も、頭に浮かんだら話してみるのがおすすめです。相手の役に立つことではなくても、オチがなくても、頭に浮かんだら伝えてみるのです。

「(育った環境では受け入れてもらえなかったけど)世の中では、思ったことを話しても、受け止めてもらえるものなんだな」「人って、優しいんだな」という感覚が育つと、人と接するときのガードが徐々にゆるんできます。「聞いてばかり」から「聞く&話す」になり、以前よりも雑談を楽しめるようになりますよ。

 3.にあてはまる方もぜひ、心の通じる相手を探してみてください。本音を話せる相手、深い話ができる相手がひとりでもみつかると「人と心が通じる感覚」がわかってきます。

 すると、「今日は寒いですね」という一言を交わすだけでも心がほっこりするし、興味のない話題でも、相手が嬉しそうに話していることなら「この人はこういうことが好きなのか」「なんだか、よかったな」と思えたりします。話の内容や深さにかかわらず、心は行き交っていることがわかるのです。

 少しずつでも自分の気持ちを話せて、相手の気持ちを受け取れるようになると、人といる時間がより楽しいものになりますよ。

(本原稿は『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』武田友紀著の抜粋です)