『世界一受けたい授業』など多数のメディアで話題のHSP(Highly Sensitive Person:とても敏感な人)専門カウンセラーが「繊細な感性を持つからこそ」深く味わえる幸せを紹介する『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』がついに発売!本連載では同書より「繊細さん」が幸せをふやすためのコツをご紹介します。
★「繊細さん」の6つの幸せについての記事はこちら
「もっとゆっくりでいいんだ」と気づく
心も体も疲れているのに、頭だけは忙しく「次は何をしたらいい? 資格をとる? 転職するなら自己分析?」と、次々にやるべきことを求めてしまう。プライベートでも、友人に「いつが空いてる?」と聞かれたら、最短で予定を答えてしまって「ひとりでゆっくりできる日」がめったにない……。
そんなときは、社会の忙しさに巻き込まれて、自分のペースを──自分本来の時間感覚を──見失っているのかもしれません。
どのくらいの時間感覚で生きているのかは、人によって異なります。太陽の動きに合わせて、朝・昼・晩ぐらいのおおまかな時間感覚で生きている人もいれば、ストップウォッチ片手に各業務にかかる時間を計測し、スケジュール通りに進めるのが好きな人もいます。ゆっくりのんびり生きるのがベストな人もいれば、ある程度スピードを出して、テキパキと動くほうが調子のいい人も。
見えないものなので人とのちがいがわかりづらいのですが、どういうペースが自然なのかは、人によって様々なのです。自分の時間感覚を取り戻すには、自然の中で遊ぶのがおすすめです。自然の中で過ごすと、「もっとゆっくりでいいんだ」と体感できて、今の忙しさが不自然なことに気づけます。
私は、会社を辞めたあと、海でSUPというスポーツをしていました。海にボードを浮かべてその上に立ち、オールで漕いで海を散歩できるスポーツです。サーフショップには常連たちが出入りしていて、男の人も女の人もみな真っ黒に日焼けし、陽気で、どこかどっしりとした安定感がありました。
海の遊びは、天候や潮の流れに左右されます。晴れていても、遠くで雷が鳴れば浜辺へ引き上げねばなりません。驚いたのは、みな、雷が止むのを2時間でも3時間でも待っていることです。ショップのオーナーと「次はこの道具を買いたいんだよね」と話したり、雑誌を読んだり、道具の手入れをしたり。天気待ちでイライラする様子は驚くほどないのです。
自然の中で遊ぶ人は、待つことを知っているんだな。自然というコントロールできないものと共に過ごすことで、どっしりした安定感が出てくるのかもしれないと思いました。
今の社会は速さを求めすぎている
誰にでも、自分にフィットする時間の流れがあります。相談者さんが「島に出かけて、夕日が沈んでいくのをずっと見ていた」「友達とキャンプファイヤーをして、みなで囲んでいる時間が良かった」と話してくださるとき、落ち着いた様子になりますし、相談者さんの中にゆっくりした時間が流れているのがわかります。
今の社会は、スピードが速すぎます。繊細さんはひとつひとつ丁寧にじっくり取り組む傾向にあるため、忙しすぎる環境や、「雑でもいいから早くやって」という価値観の職場では大変な思いをしやすいです。
本来ゆっくりしている人がスピード重視の職場に勤めると、不安になるのも当然のように思います。一番しんどいのは、今いる環境に影響されて、「もっと速く」と自分で自分を急かしてしまうことです。
自然の中で遊ぶと、本来の時間感覚を思い出せます。自然の雄大なリズムが基準のひとつとして現れ、「もっとゆっくり生きてもいいんだ」と体感できるのです。
社会の中で、スケジュールに追われることももちろんあるでしょう。それでも、「自分が遅いのではなく、社会の側が速さを求めすぎている」と知っておくだけでも、巻き込まれることが減り、自分のペースを取り戻しやすくなります。
(本原稿は『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』武田友紀著の抜粋です。HP「繊細の森」はこちら→https://sensaisan.jp/)