フェーズによって積み上げ式策定・逆算式策定を使い分ける
小林:事業計画を積み上げ式で策定するのか、逆算式で策定するのかという点に関しては、会社のフェーズによって適した方法が変わってきますね。初期フェーズだと、自社のリソースが制約条件となりますから、それをどう増やしていくかが事業計画策定の際のキーファクターになります。自分たちの手元にある材料から積み上げ方式で計算できるわけです。
一方で、会社や事業・プロダクトの規模が大きくなってくると、マーケットの上限や白地から逆算して考える必要が出てきます。
朝倉:事業規模が小さいうちはシェアも低いため、やればやるほど伸びていくけれど、事業が成熟するにつれ、シェアが高まり、マーケットの上限が見えてくると言うことですね。
小林:例えば、売上を1社あたり単価×社数で算出できる事業形態なら、クライアントは現実的に何社まで獲得できるのか、単価はどこまで伸ばせるのか、といった点が、より重要になっていくでしょう。
朝倉:スタートした時は、自社のリソースに、特定のパラメーターを掛け合わせたら線形的に会社が成長していくと想定していたものが、事業が成熟してくるにつれて同じ試算方法では通用しなくなってくる、ということですね。
規模が大きくなるにつれて、今までと同じように人員数といった自社のリソースを無尽蔵に増やしていくことができるのかといった点や、マーケットの上限、競合とのシェアの奪い合いと言った要素も絡み合ってきます。ドミナントポジションを獲得する戦略、競合優位性を確立する戦略なども、投資家が注視するポイントになるでしょう。