リアリティあるユーザー像を共有する

村上:3つ目に挙げた、リアリティのあるユーザーイメージを持てているかどうかについてですが、これも会社の成長に伴って生じがちな論点です。事業が一定規模に達すると、さらなる成長のためにより大きなマーケットにアプローチをしていかなければなりません。その際、大きな母集団に注目し過ぎて、具体的なユーザーのイメージが欠落した事業計画を策定してしまうというケースも見受けられます。

朝倉:初期のサービス設計時には、多くのスタートアップが具体的なペルソナを強く意識します。「都心に住んでいる20代の働く女性」といった粒度のターゲットセグメントをさらに噛み砕き、一人の特定の人物像にまで具体的にイメージした上で、その人に刺さるプロダクトを提供していくというアプローチを採るものです。

ですが、ある程度事業が大きくなると、ターゲットを数字で語ってしまい、自分たちが抱えているユーザーがどういう人たちなのかを見失ってしまいがちですね。

村上:はい。既存ユーザー・潜在ユーザーをリアリティを持って分析できていないと、事業計画全体がリアリティのないものになります。事業がスケールしても、具体的な顧客やユーザーをイメージした戦略・計画・説明が必要だと思います。

朝倉:これはBtoBでもBtoCでも言えることですね。BtoBなら、自分たちの顧客を、大企業・中小企業といった大カテゴリで捉えるのではなく、事業内容、人員体制、意思決定プロセスといった細部まで顧客像を落とし込んで考えていかないと、リアリティを失ってしまうでしょう。