長期チャートを見れば
会社の趨勢がわかる
また、同じ株式に資金を投じるにしても、ただ漠然と買って持つのと、このようにいろいろ考えながら持つのとでは、大きな違いがあります。投資先企業について、いろいろなことを調べ、考えを巡らせるマインドを持つことが出来れば、労働者1.0から脱して労働者2.0になれたも同然です。
もちろんなかには、「株式を買ったくらいで働くマインドまで変わらないよ」と思っている人もいるでしょう。
それは正しい。実は、株式を買っただけでは何も変わりません。大事なのは、今も申し上げたように「考える」ことなのです。
私は就職活動中の学生と話をする機会があれば、必ず学生にこう言うようにしています。 「自分が入社したいと思っている会社の20~30年間の長期チャートは必ず見なさい」
株式に投資していなかったとしても見ることをお勧めします。
チャートとは、日々の株価の値動きを示したグラフのようなものです。これを20年間、あるいは30年間くらい長期で見ると、会社の趨勢(すうせい)が分かります。たとえば、いまだにバブルピークだった1989年の株価を抜けていない会社もあります。この手の会社は、実に30年間にわたって、ほとんど成長していないことを株価が物語っているのです。
長期的に株価が低迷している会社だったら、それは経営者の経営判断が悪いのか、そもそも産業構造がダメなのか、それとも競争環境が悪化しているのか、というように自分なりに考えることが大事です。
ウォーレン・バフェットやその師であるベンジャミン・グレアムという、長期投資の世界で伝説になっている大投資家は、「株価は長期で見れば秤(はかり)のようなものだ」と言っています。したがって、長期趨勢的に株価の下落が続いている場合は、その会社に何かネガティブなことが起こっていると考えてほぼ間違いありません。