この機を「考える機会」とすること、それがまず重要だ。その上で、今行動すべきこととして次の3つを挙げておく。

1.つながる
2.遠隔リテラシーを高める
3.生産性で乗り切り、次への布石を打つ

顧客やステークホルダー
とのつながりを大切に

 第一の「つながる」は、まずは顧客、ひいてはすべのステークホルダーとのつながりをさす。私は、ビジネスにおいては、絆作りや顧客コミュニティ育成が重要と考える。有事に備えてのことではなく、日常的な活動としてである。

 今のような状況になったとき、その取り組みがどんな効果をもたらすだろうか。

 例えば埼玉県にある酒販店の店主は、逆に客数が増えていると言う。自宅飲食の需要変化もあるが、来店するお客さんは「暗いニュースばかりで気が滅入るから来た」と口々に言うそうだ。そして店主と会話して「落ち着いた」「顔を見たらなごんだ」と言ってお酒を買って帰る。彼らは我々の言うところの“絆顧客”である。このような情景は今、絆作りを行ってきた飲食店、化粧品店、雑貨店などで広く見られるが、つながりの深い顧客コミュニティを平素からしっかり育てておくと、有事にあっても経営は揺らぎにくい。

 また顧客コミュニティがあると、平時に戻れば復旧を応援される。今回のような大規模な感染症が頻繁に発生するとは思わないが、世の中何があるか分からない。実例を言えば、昨年、九州のあるたこ焼き店は、相次ぐ水害で二度も店が水没した。この店は幸いにして、強固な顧客コミュニティを作り上げていたので、ファン顧客たちが被災直後から後片付けや様々な応援に来てくれ、おかげでいずれも数日のうちに営業再開にこぎつけた。そうしてお店を開ければ開けたで、お客さんがひっきりなしに来てくれる。そこではお客さんは「ファン」であり、「応援者」となってくれているのである。

 こうした例を見るにつけ、“つながる”ことの強さを改めて思い知らされる。平時においては心豊かなビジネスを営むことができ、仕事が愉しくなる。有事においては被害を最小限にとどめ、復旧を後押しし、足腰の強い経営を可能にする。

 今こそ、できる範囲で、“つながる”活動を活発化することをお勧めしたい。つながるパイプを少しでも持っている会社、例えば顧客リストはあるとか、メールアドレスは収集している、ラインに登録してもらっているといった会社は、この機会につながりを強化することだ。