大型テーブルの周りに5人の男と2人の女性が座っていた。

「我が社の極東担当スタッフです。日本の専門家も2人います」

 村津はダラスとスタッフたちに首都移転の詳細について述べた。前回に話した内容よりも、遥かに具体的で詳しいモノになっている。中には外国の一企業に話すには問題がありそうなモノまで含まれていた。

 ダラスを含めて8人の男女は真剣な表情で聞いている。ロバートの表情も変わっていた。

 村津が話し終わって、2時間近くのやりとりがあった。村津、森嶋、優美子がお互いの専門について答えた。

 ダラスのスタッフたちは日本経済、財政について驚くほどのデータと知識を持っていた。あらためてインターナショナル・リンクの力と世界に影響を及ぼす所以を知った。

「日本は諸外国から見れば、やはり特殊な国かもしれません。数値では現われない多くのモノを持っています。日本を正しく評価するには、それを理解することが必要です。首都移転は日本の多く、すなわち政治形態、経済、国民意識、文化、そして未来を根本的に変えていきます。私はこの首都移転プロジェクトをなんとしてもやり遂げるつもりです」

 最後に村津が言って深々と頭を下げた。

 席を立つとき、森嶋は優美子が1冊のファイルをダラスの席にある写真集の下に滑り込ませるのを見た。

 4人はホテルを出た。

 村津とロバートは森嶋と優美子と別れ、タクシー乗り場のほうに歩いて行った。

 ロバートは大使館に戻り、村津もこれから長谷川との打ち合わせがあると言う。ロバートが未練たっぷりの視線を優美子に向けているのが森嶋にはおかしかった。

 森嶋と優美子は地下鉄の駅まで歩いた。どちらともなく駅前の喫茶店に入った。