変革が終わった後のトップを選ぶのは、組織に残った人たちの役目だと思います。変革型の経営者の後に必要とされるのは、多くの場合、管理運営型の経営者です。変革による成果をルーティンにしていけるタイプの経営者です。そういうタイプの人を組織内人材から選んでいけばいいのです。

 私は、ベイスターズの社長を辞めた後、しばらくはベイスターズに関する情報をシャットアウトしました。試合の結果もあえて知ろうとしませんでした。そうしないと、区切りがつかないからです。全身全霊を懸けて変革に当たった会社ですから、簡単に忘れられるはずがありません。しかし、忘れなければいけないのです。次のステップに進むために。

あらためて、変革とは生きること

 人は変化よりも安定を求めるものです。一方で、新しいものへの好奇心を生きる原動力にするのも人です。安定と好奇心。その2つをてんびんに掛けてどちらに傾くかによって、結局のところ人の生き方は決まるのだと思います。

 私は明らかに好奇心の方に傾く人間です。新しいものを知りたい、新しいことにチャレンジしたいという欲求が活力になる人間です。私は「しがらみ」は人を弱くすると思っています。同じ場所に居続けると、しがらみが増えて、人は身動きが取れなくなります。動きが止まるということは、進化もストップするということです。自分を進化させるために、安心よりも好奇心を、安定よりも変化を選ぶ。それがプロ経営者としての私の生き方です。

 変革を成功させるには、PDCAサイクルを回していくことが欠かせません。同様に、自分を成長させるためには、いわば人生のPDCAサイクルを回していく必要があります。自分で問いを作り、その答えを自分で見つけ、実行し、検証し、次の問いを作っていくというサイクルです。

 だから、私の中で「変革」とはまさに「生きること」と同義なのです。プロ経営者、すなわちプロの変革者として生きることはまさしく天分である。私はそう考えています。

 さて先日、私はプロバスケットボールリーグBリーグ・「埼玉ブロンコス」のオーナーとなりました。プロ経営者としての好奇心をかき立てる次の難題を見つけたというわけです。これまでは「基礎編」として、私の経験を基に標準化された方法について紹介してきました。次回から、Bリーグという新たな舞台における変革の「実践編」をリアルタイムでお届けしていく予定です。この変革がうまくいっても、頓挫しても、実況ライブは皆さんの変革のヒントになると思います。ぜひ、ご期待ください。

池田 純
早大卒業後、住友商事、博報堂勤務などを経て2007年に株式会社ディー・エヌ・エーに参画。2011年横浜DeNAベイスターズの初代社長に就任。2016年まで5年間社長をつとめ、コミュニティボール化構想、横浜スタジアムのTOBの成立をはじめさまざまな改革を主導し、球団は5年間で単体での売上が52億円から110億円へ倍増し黒字化を実現した。退任後はスポーツ庁参与、明治大学学長特任補佐、日本ラグビーフットボール協会特任理事などを務め、2019年3月にさいたま市と連携してスポーツ政策を推進する一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長に就任した。また、現在有限会社プラスJ(https://plus-j.jp/)。では、世界各国130以上のスタジアム・アリーナを視察してきた経験をもとに「スタジアム・アリーナミシュラン」として、独自の視点で評価・解説を行っている 著書に『常識の超え方』『最強のスポーツビジネス』(編著)など。