閉塞感漂う組織を変革し、新しい競争優位を築くために、外部から経営のプロを招くケースが増えている。本来個々の組織に深く結び付いた経営という仕事をプロフェッショナル化し、組織変革を成功に導くための条件とは何か。ジョンソン・エンド・ジョンソン、カルビー、RIZAPグループと名だたる企業でプロ経営者としての実績を残してきた松本晃氏と、スポーツの世界で組織変革に取り組む横浜DeNAベイスターズ初代社長の池田純氏が、プロ経営者の在り方について語り合った。
権限委譲を成長につなげる条件とは
池田 最初に就職されたのは総合商社だったそうですね。
松本 伊藤忠商事で国内の機械販売を担当して、それから輸出業務に携わりました。その後、医療関係の関連会社に出向して経営者のはしくれになりました。
池田 関連会社の取締役になられたのはお幾つのときだったのですか。
松本 1986年だから、39歳です。20代の頃から社長になりたいと思っていたので、就任したときはうれしかったですね。本社にいたら役員になるまで相当の時間がかかります。子会社に出向して経営の道を始められたのは良い経験になりました。
池田 なぜ社長になりたかったのでしょうか。
松本 何でも自分で決められるからです。実際に1993年にジョンソン・エンド・ジョンソンに転職して、そこで社長になってからは、社員に任せるのが僕のスタイルになりました。もちろん、「握る」こと、つまり目標に関して契約しておくことは必要です。後は全部任せておいたらいいと思ってます。
池田 途中で細かいことに口出しをしたりはしないわけですね。