ほぼ40年ぶりに大改正された相続法が昨年より順次施行されている。そんな中、識者からはその危うさが指摘され、当初の想定とは違った事態も発生し始めた。新・相続法に何が起きているのか。特集『改正相続、もめごと全解決!』(全11回)の第1回では、改正相続法に隠された「落とし穴」について概説する。
40年ぶりに大改正された相続法の
危うさがクローズアップされ始めた
「相続法の改正なんて、家族仲が良く遺産争いとは無縁の自分には関係がないと思っていました」――。東京都内に住む会社員、鈴木太一さん(52歳・仮名)はそう明かす。
2018年7月、およそ40年ぶりに大改正された相続法だが、これまで「その影響を受けるのはごく限られた人のみ」という見立てが税理士の間でも一般的だった。
ところが、昨年7月、主だった新規定が一気に施行され、さらに今年4月に目玉といわれる「配偶者居住権」がスタートすると、改正相続法の危うさや本来の趣旨とは異なる使い方が徐々にクローズアップされ始めている。