マイルス・デイヴィスマイルス・デイヴィス(1969年米国ニューヨークで撮影) Photo:Jack Vartoogian/gettyimages

ステイホームが続く中、読書やDVD観賞に楽しみを感じている人もいるだろう。そこで今回は、ミュージシャンでもある筆者が、おすすめのミュージシャン伝記映画を紹介してみたい。(フリーライター 武藤弘樹)

伝記映画が持つ特異性
華やかなステージとその舞台裏

 ミュージシャンを題材に扱った映画は爽やかで音楽の素晴らしさを伝えるようなものもあるが、伝記映画となると途端に別の面白さが出てくる。ミュージシャンの生き様に主眼が置かれるので、華やかな表の面と鬱々としている舞台裏が描かれることになる。それが“伝記”ということで、生々しさや迫力が一層増してこちらに迫ってくるのである。

 筆者は似非ミュージシャンとして「ミュージシャンの末席を汚す身」である。

 言い訳からの導入となるが、ミュージシャンといっても「ピンキリ」なので筆者がピンかキリかはご想像にお任せするとして、ミュージシャンとして通り一遍の音楽は聴いてきたつもりはあるので、「ミュージシャンがおすすめする」と題を打ったことに恐縮しつつも、ごく“個人的な好み”にとどまりはするが、おすすめのミュージシャンの伝記映画を少しばかり紹介したい。

 一応補足しておくと、ミュージシャンの伝記映画は数多くあるが、やはり自分が好きだったり、興味があるミュージシャンのものをチョイスして見るので、見た作品に偏りが生まれる点はご容赦願いたい。

 参考程度の自己紹介として筆者はソウル/ファンク、ロック、ジャズ/フュージョンを主に聴いてきていて、特に70年代のものが好みである。