最悪の事態を想定して最高の人生を生きる「ポジティブ悲観」のススメ

 朝のはじまりに気分を上げるため、私はよくゲイの精神科医Tomy先生のツイートをチェックしている。あるときは、次のような言葉が目に飛び込んできた。
 本当に大切なものは目に見えないことがあるわ。
 そう、空気のように。
 意識して見えないものを見るようにするの。
 するとアナタの世界が今も輝いてることがわかる。

 目に見えないコロナの恐怖にビクビク怯えながら生活していると、「家族がいつか感染するかもしれない。自分もいつ死ぬかわからない」とマイナス思考がふくらんでいく。
 でも、Tomy先生の言葉のように「大切なもの」を見ようとすると、「今日も仕事して美味しいご飯を食べて幸せだった」、と一日一日がありがたく思えるのだ。
 そんな風にいつも心のスイッチをネガからポジに切り替えてくれるTomy先生は、死ぬことが怖くないのだろうか?
精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』も人気のTomy先生インタビュー3回目は、死と隣合わせの状況でもめげずに生きるコツについて話を聞いた。(取材・構成/樺山美夏、撮影/疋田千里)

どうせいつか死ぬんだから、少しでも楽しく生きたいじゃない?

――Tomy先生の本には、「人間はつらい環境でもプラスに変えていく力がある」、「生きる理由が失われようとしたときは、理由なんかなくても生きればいいのよ。」という言葉がありますね。どうすればその境地に達することができるのでしょうか。

精神科医Tomy 前回、話したように、私は愛するパートナーを亡くした後に、自分も死ぬかもしれないと思うほど辛い経験をしたことがあります。それからは、「人間なんていつ死ぬかわからないじゃない」と思って生きているんですね。だからどんなことが起きても、「どうせいつか死ぬんだから、限られた条件のなかで少しでも楽しく生きたいわ」って思うんです。

 新型コロナウィルスの世界的な感染拡大も、誤解を怖れずに言うと、そういうシミュレーションゲームの世界に放り込まれたようなものだと思うくらい、割り切ったほうがいいというのが私の考えです。そのくらい気持ちを切り替えないと、精神的に持たないと思うんですよ。

 人生でここまでの非常事態を経験することなんて、めったにないでしょ? サバイバルゲームをしているつもりで楽しむくらいじゃないと、やってられないですよ。でもこんなこと、ツイートしちゃうと炎上するかもしれないから、ここでしか話せませんけど(笑)。

最悪の事態を想定して最高の人生を生きる「ポジティブ悲観」のススメ精神科医Tomy(せいしんかい・とみー)
1978年生まれ。某名門中高一貫校を経て、某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、産業医。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックに常勤医として勤務。2019年6月から本格的に投稿を開始したTwitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』が話題を呼び、たった半年ほどで13万フォロワー突破、さらに人気上昇中。覆面で雑誌、テレビ・ラジオ番組にも出演。舌鋒鋭いオネエキャラで斬り捨てる人は斬り、悩める子羊は救うべく活動を続けている。著書に『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』がベストセラー中。