仕事は選ばなければいくらでもあるわ

――フランスの農相が、新型コロナの影響で失業した人に「農業部隊」の求人を呼びかけたら20万人の応募があったそうです。日本も、農業、漁業、小売業をはじめ人手不足の職種はまだまだありますから、選り好みしなければ仕事はありそうです。

精神科医Tomy 本人さえやる気があれば、路上で寝るようなことにはならないと思うんですね。私の父も生前、倒産した会社の社長がテレビで泣いて謝っているのを見て、「会社が潰れたって、いざとなったら屋台を引いて食っていけばいいじゃないか」と言ってました。

 生きるか死ぬかの状況で食いつないでいこうと思えば、やりようはいくらでもあると思うんです。それができない人は、高い家賃を払って都会に住むことが当たり前になっていたり、自分が生きるための最低レベルを下げられないのかもしれません。まずはそこを全面的に見直して、必要ないものはパパパッと見切っちゃったほうがいいです。

最悪の事態を想定して最高の人生を生きる「ポジティブ悲観」のススメ

――衣食住以外のことは、まず生活を立て直してから考えればいいと。

精神科医Tomy そう思いますね。屋根の下でご飯を食べること以外は、いったんすべて放り出して、生きることだけに専念するんです。今までの生活を100として引き算で考えるから、不安や不満を感じるんですよ。

 そうじゃなくて、生きていること自体をゼロとして考えて、その他はすべて足し算で考えればいいんです。すると、今日はお天気で良かったとか、体の調子も悪くないとか、考え方もプラス思考になっていくものです。

 他にやりたいことがあるなら、基本的な生活が落ち着いてから少しずつ取り戻せばいい。もしも、再び何か問題を抱えるようなことになっても、またゼロに戻ればいいだけ、と考えればいいんですよ。