佐藤 ところが最近は、グループ会社同士でのビジネスが増えてきました。そうなると、それぞれが異なる方向に行きやすく、共通の基準で意見をまとめていくのが難しくなってしまいます。そこで今回、世界中のメンバーと一緒に2年以上かけて「コアバリューズ」を定義しました。

 海外のグループ会社からは、明確な指針ができたと歓迎されていますし、我々もテルモとは何の会社なのか、歴史から振り返ることができて、非常に価値のある試みだったと感じています。

多田 海外のグループ会社が増えていくと、グローバル経営を担っていく次世代リーダーの育成も必要になってきますよね。

テルモがグローバルで勝ち続ける理由、全員で共有する「価値観」重視の戦略とは

佐藤 ええ。今年4月にグローバル人事部を発足しました。冒頭でお話したように、海外での売上比率が国内を上回るなか、人材観点においても、国籍やバックグランドを問わずさまざまな人材が活躍しているのが現状です。

 このように、本社だけでなく、各グループ会社内でも優秀な人材が育ってきた今、テルモ全体の人材力を最大化させるために、各メンバーの能力と本人の意志に応じて、グループ会社間の異動により、新たなキャリアの選択肢を提供すべきケースが増えてきています。

 そこで、自分が今登っている山だけでなく、違う山にも登ることができるのだという可能性を示していくための人材マップや、研修制度を設計し、グローバルに活躍できる幹部を育成しています。もはや、子会社だけ、本社だけ、事業部だけという「組織で境目をつくる」ことに意味がなくなってきているのです。

異業種からの転職で社長に就任
多様性が支える「変化」の風土

多田 社員1人ひとりのキャリアの選択肢を、グループ全体で広げられているのですね。キャリアに関していえば、佐藤社長は43歳のときにテルモに中途入社されています。それも全くの異業種からですね。そして2017年、56歳のときに社長になられています。日本の大手企業においては珍しいキャリアだと思いますが、入社当時から「社長になる」という考えはおありだったのでしょうか。