いま、そこにある“インクルーシブ社会の然るべき姿” 

 また、2018年に入管法の改正が行われ、働く「外国人」の存在もいっそうクローズアップされるようになった。いまや、コンビニや飲食店、建設現場など、街なかで外国人労働者を見かけることは少しも珍しいことではない。厚生労働省の発表では、日本で働く外国人の数は2019年10月末時点で約166万人と、過去最高を更新している。日本で学びたいという留学生が増加したことや、技能実習生の受け入れが進んでいることも要因のひとつだろう。

 さらに、2019年に新たな在留資格「特定技能」が新設され、深刻な人手不足にある業界が外国人労働者を積極的に受け入れられるようになった。国籍や文化が異なる外国人とともに働くことは、労働力不足の解消やダイバーシティ社会の推進に加え、企業のグローバル化にも欠かせない要素といえるだろう。

 LGBTにおいても、社会における認知と並行したかたちで企業の理解が進み、社内規定の見直しをはじめとした“働きやすい環境づくり”が進んでいる。
*詳細は、別稿「LGBT当事者が職場で感じる“ハート”と“ハード”の違和感」参照

 「誰もが働きやすく、誰もが活躍できる社会」の実現こそが、ダイバーシティ社会の目標であり、“インクルージョン”の然るべき姿だろう。

 障がい者・外国人・LGBTの雇用の現状を見ると、いま、日本は、その階段を確実に上りつつあることが分かる。

※本稿は、インクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2020」の掲載記事を転載(一部加筆修正)したものです。