「日本は島国ということもあり、日常レベルで外国人と接する機会はまだまだ少ないと言えるでしょう。言語や育ってきた環境、働く理由が異なる外国人と一緒に働くことが、日本人にとって良い刺激になるケースが多いようです」(野口氏)
一方、働く現場では、「意思疎通がスムーズにとれない」という声もある。しかし、アンケートの結果では、「特に困ることはなかった」という意見が多く、外国人とともに働くことに対し、疑問や問題を感じることのない企業が目立っている。
「コミュニケーションを課題だと感じる声もありますが、日本語が堪能な外国人社員をリーダーに配置し、その人を橋渡しにするようなかたちで意思疎通を図っている企業は、うまくいっている傾向にあるようです」(野口氏)
多様な人材が相互理解することで、新たな価値が生まれていく
外国人と日本人が一緒に働くことで、自社をグローバル企業に成長させようとする動きもある。
本国へ戻る社員を、事業の海外展開や販路開拓に活用しているという例や、外国人目線で商品・サービス開発を行い、新たなビジネスモデルを構築した例など、「外国人」であることのメリットを見出し、プラスアルファの人材活用をしている企業もある。こうした取り組みは、多様な人材が集まり、相互理解し、新たな価値を生んでいく「ダイバーシティ&インクルージョン」の理想的なスタイルと言えるだろう。
日本人が外国人と働くにあたって、言語・文化の行きちがいやコミュニケーション不全から不安や戸惑いが先立つこともあるかもしれない。しかし、それは雇用されている外国人も同じこと。国籍のちがいを過剰に意識せず、相手の立場を理解し、お互いが寄り添って働いていくことが肝要だ。
※本稿は、インクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2020」特集《ダイバーシティ社会のみんなの働き方》内のテキストを転載(一部加筆修正)したものです。