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リモートワークがスタンダードになるにつれて、コミュニケーションや会議の進め方が変わりつつある。日本的なあうんの呼吸に頼れなくなったとき、新しいビジネスの作法は、空気を読み合う「ローカル・モード」から、誰でも明確にかかわりあう「グローバル・モード」に近いものとなっていく。

米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

日本人が踏みがちな「地雷」とは

 数年前、ある大手企業から、入社3年目の社員60名向けに、7日間のグローバル人材育成の研修を仕立ててほしいという依頼が入りました。聞けばその60人は、同期入社130人のうち、入社3年目までに必須のTOEICの基準点をクリアできなかった「英語が苦手なグループ」とのこと。クリアできた「英語ができるグループ」は海外支店で1~2週間の実地研修を行ない、苦手組は日本に残って7日間で追い込みをかける、というものでした。

 たった7日間で、英語の苦手なメンバーをグローバル・ビジネスの即戦力にする――というと、怒涛の英語漬け研修を行なったと思われるかもしれません。特に私は英会話スクールを経営しているのでなおさらです。しかし、英会話に費やしたのはたった1日。あとの6日は、日本人に決定的に足りていないスキルの習得にフォーカスしました。

 それが、日本人同士が日本語でコミュニケーションする「ローカル・モード」から、さまざまな国の人が英語でコミュニケーションするための「グローバル・モード」への転換です。グローバル社会を動かす原理は、「人と人は違う。そして、違うことは良いこと」というものです。人と人の違いを際立たせ、それを活用しながら何かを一緒に創り上げていく世界です。

 残念ながら、私たち日本人はこの考え方に慣れていません。違う意見を述べにくい、同調圧力の高い社会に育っているからです。一人だけ反対意見を言うと眉をひそめられたり、人と違うことをすれば叩かれたり……そんな空気を感じて押し黙ってしまうことは少なくありません。

 会議で部長以下全員が「A案でしょうね」と収まりつつあるときに、「やはりB案もいいのでは」とは言いづらいでしょう。しかしグローバル環境では、B案どころかC案・D案、「そもそも止めてもいいんじゃない?」などの意見がバンバン飛び交い、互いを尊重しつつ解決策を見つけていきます。

 これは、私たちが馴れ親しんだ「空気を読んで、角が立たないように振る舞う」世界とは真逆のもので、単に言語だけ日本語から英語に置き換えてもうまくいかないのです。