オーストラリア南部の有力州が中国とのインフラ協力を押し進めている。その一方で、中国政府と豪政府の関係は悪化しており、中国マネーが国家安全保障上のリスクとなるプロジェクトに流入しかねないとの懸念が強まっている。豪ビクトリア州は昨年10月、中国が外交政策の柱に据える1兆米ドル(約110兆円)規模の「一帯一路」構想に加わった。ここ数日、同州のダニエル・アンドリュース首相は構想について、「輸出へのパスポート」であり、新型コロナウイルスに苦しむ経済環境にあって、雇用を創出する手段になると主張している。だが、中国との合意は、ビクトリア州と豪連邦政府の関係に亀裂を生じさせつつある。豪中両国は新型コロナの感染拡大への対応を巡って互いを非難し、豪連邦政府は中国に厳しい目を向けている。国家主義を標榜する有力議員の一団は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を機に経済を変革し、中国への依存を低下させるべきだと連邦政府に呼び掛けている。
豪政府に敬遠される中国、まずは州を標的に
中国マネーが国家安全保障上リスクとなるプロジェクトに流入しかねないとの懸念強まる
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