下痢、便秘写真はイメージです Photo:PIXTA

毎日下痢、腹痛が
30年近くも続いている

「じゃあ僕はちょっと失礼します」

 同僚と昼食に出かけた後、ヒロユキさん(仮名・53歳)は必ず一人、姿を消す。トイレに行くのだ。

「彼はさ、お腹が弱いんだよ」

 なかなか戻ってこないのを心配する新入社員に対しては、古参の社員が説明してくれる。もう30年近くも続いている行動なので、誰も何とも思わない。

(俺の下痢人生も長いよなぁ)

 トイレ後の一服を味わいながら、ふと思いにふける。症状を自覚したのは大学時代、就活の最中だった。「この会社には絶対入りたい」と強く望む会社の面接日に限って、往路の電車内で便意を催してしまう。腹痛に耐え抜き、下車駅でトイレに駆け込み、済ませても、面接中にまたも腹が痛くなる。

(ガスだけでも、そーっと出せば楽になるかもしれない)

 誘惑に駆られるが、おならをする勇気はない。大きな音が出てしまうかもしれないし、中身が一緒に出るリスクもあるからだ。