このあたりは、安倍政権は驚くほど下手くそだったが、政府よりも早くロックダウンやオーバーシュートで危機を煽った小池氏は、非常にうまくブランディングができている。そのような意味では、現時点では小池氏の「再選」はかなり固い。

 今週の『週刊文春』には、「学歴詐称疑惑」以外にも、小池氏の元秘書で「金庫番」と言われる男性が都から業務を委託されていたPR会社と不動産取引をしていたことなどが報じられているが、こちらも即座に致命的なダメージになるとは思えない。

個人のブランディングに長けた
小池氏に見える「死角」とは

 それに加えて、何よりも筆者が再選を固いと思うのは、やはり小池百合子という政治家の「しぶとさ」だ。

 自分へ向けられた「批判」をまるで養分のように取り込んで成長していく、巨大なモンスターのような生命力がある。また、自分と対立する「敵役」を貶めることで、自分のブランド価値を最大限まで引き上げる、したたかさもある。

 ただ、そんな小池氏にも死角がある。「自分のブランディングしかできない」ということだ。「小池百合子」のブランディングはできるが、「小池新党」や「東京都」という組織のブランディングはあまり得意ではないのである。

 これは政治家としての弱点でもある。「希望の党」の崩壊や、「都民ファースト」から続々と離反者が出たことからもわかるように、小池氏にはいまいち「人望」がない。勢いのある今は、おこぼれをいただきにさまざまな人間が集まっているが、本当に苦しい時についてきてくれそうな、「盟友」と呼べるような政治家はそれほど多くない。

 対抗馬は、このあたりの「人望のなさ」という弱点を当然突いていく。小池氏が国政に戻ることに戦々恐々としている「ポスト安倍」の政治家たちも、そこに注目している。そうした意味では、7月5日の都知事選は、これからの日本の行方を占う1つの目安になりそうだ。

(ノンフィクションライター 窪田順生)