三密回避のためにも設備を見直し
論点をすり替える小池都知事
組織委関係者によると、国内外の主要メディア関係者が集うMPCは、記事を書くペン記者の座席が600、カメラマンの座席が200用意される計画だ。だが、ソーシャルディスタンスを実現するためには、同じ広さの空間で席数を半分から3分の1に抑えなければならない。
またMPCの記者会見場の席数も700~1000を想定しているが、大幅な削減が必要になる。「設備を縮小し仕様を落とすだけでもコストがかかる可能性がある。コロナ対策でコストがさらに増すうえに、本来のキャパシティを賄えない」(前出の組織委関係者)となるわけだ。
同様の問題は、国立競技場や日本武道館などすべての競技会場や関連施設で起こりうる。各競技会場に設けられる記者席や記者会見スペースなどはMPCよりももっと狭い。加えて、選手の控室である「ドレッシングルーム」は、着替えを行うなどいわゆる“三密状態”となりやすい典型的な場所だ。
また観客にも、入場時の検温や手指の消毒を求めることになれば、施設の動線計画に狂いが生じる。これが施設の設計や仕様に影響する可能性もある。
もしも、コロナ対策に万全を期すためにこうした施設の仕様や設計を改めるとすれば、増加する手間やコストは決して小さくはない。
その一方で、三密回避のために観客数を絞れば、チケットの販売枚数は減ってしまい、組織委の収入が減る。開催延期とコロナ対策は、組織委にとってデメリットしか生み出さない。冒頭で触れたように、IOCは追加コストの負担について既に予防線を張っているため、超過したコストは開催都市である東京都が負担を強いられる可能性が高い。