小池知事は7月5日投開票の都知事選での再選は固いとされながらも、ここにきてエジプト・カイロ大学“首席卒業”という従来の売り文句に重大な疑義が呈せられるなど冴えない。都知事選では五輪の経費負担をめぐる議論も大きな争点となるはずだ。
にもかかわらず小池知事は、6月5日の定例記者会見で一連の簡素化やコストの問題について尋ねられたのに対し、「(7月に予定されている)五輪1年前のイベントのあり方が問題だ」と語るなど、論点をすり替えてやり過ごした。
職員の4割が自治体出向の組織委員会
コロナで業務パンクする現場の悲鳴
「出向者を戻してもらえないか」――。組織委の職員約3800人のうち実に約1500人が、都や区市町村など自治体からの出向者で占められており、組織委には出向元からこうした切実な声が寄せられているという。
いうまでもなく自治体の現場は今、コロナ対策の一環である給付金の申請書類の審査や支払いといった業務に忙殺されている。3~4月にコロナの感染者が増えていた時期には、保健所の業務がパンクしていたことも記憶に新しい。
1年延期した五輪の準備が本格化するであろう今秋以降は、コロナ感染の第2波が起きる可能性が取りざたされている。数週間の“スポーツの祭典”よりもはるかに緊急性の高い業務が生じる恐れは大きい。
未曽有の感染症リスクが今なお続いている中で、夢に酔っているだけでいいのかどうか。多くの都民や国民は、すでに気付いているはずだ。