アクセラレーターとしての
「CVC2.0」を考える

 シリコンバレーではVCやエンジェル投資家がオープンイノベーションを加速させる、いわゆるアクセラレーターとして重要な役割を果たしているようですが、日本型エコシステムでは誰がその役割を担うのでしょうか。

木下 私たちはコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)がその有力な候補になりうると考えています。ベンチャー企業にリスクマネーを供給するだけでなく、場合によっては企業が持つ技術シーズや人材などをマッチングさせるという役割を想定した場合、事業会社がつくるCVCが日本では最も有効に機能するのではないでしょうか。

井口 かつてCVCの設立が相次いだことがありましたが、それらはあくまで社内組織としての位置付けが大きく、純投資としてのベンチャー投資を成功させた例はあっても、オープンイノベーションを加速させるという点では必ずしもうまく機能しませんでした。

 これを「CVC1.0」とすれば、第三者的立場でオープンイノベーションを促進する役割を担う「CVC2.0」は、思い切って社外に切り出し、独立性を担保したほうがうまく機能するはずです。

 CVCの経営メンバーも年、3年で交代して母体企業に戻るようではアクセラレーターとして十分な役割は果たせませんから、たとえば10年間はその仕事にコミットする。社内でのキャリア形成という点から考えれば、リスクを取ってCVCに行くことになりますから、それに見合うインセンティブも考える必要があると思います。

木下 繰り返しになりますが、エコシステムが整備されてからオープンイノベーションがスタートするわけではありません。一つひとつの企業が、情報、資金、人・組織の3つの要件を念頭に置きながら、オープンイノベーションによって現状を打破すべく果敢にチャレンジすること。それによってエコシステムが結果的に形成され、日本の競争力を高めることにもなるのです。


●企画・制作|ダイヤモンド クォータリー編集部