北欧ブランドBang & Olufsen(バング & オルフセン)のBluetoothスピーカーA1シリーズが第2世代機に進化し、先月末に発売された。実売価格は3万円ほど。

 「Beosound A1」の先代モデルは2016年に国内販売が開始された「BeoPlay A1」。著名なデザイナーである、セシリー・マンツ氏による、デザインコンセプトは継承しており、見た目も大きくは変わらないが、細かな部分の使い勝手を上げている。

パッケージ

 一方で、カラーについては「チャコールブラック」(Black Anthracite)と「ミストグレー」(Grey Mist)の2色に絞り込んでいる。従来は10色に渡るカラー展開があり、オリーブ(Moss Green)やライトブルー(Sky)など、他社製品にはない印象的なカラーも含まれていた。数量限定販売なども含めた展開を期待したいところだ。

 新モデル「Beosound A1」の改良ポイントとしては、バッテリー駆動時間の延長、音声アシスタントへの対応(Alexa)など。360度に音が広がり、かつ数十名規模のパーティー(広さ30m2程度)であれば1台でこと足りるほどの音量も出せるようになっている。豊かな低域と、Bang & Olufsenらしいバランスの取れた品位の高いサウンドも魅力のひとつだ。

 ここでは、Beosound A1とはどんな製品か、どんな魅力を持つかを紹介する。

部屋全体に音が広がる全方位型スピーカー

 Beosound A1は直径133mm、高さ46mmの大きさで、パンケーキのような形状だ。上部はアルマイト加工、底部はテフロン加工したフライパンのような質感になっており、質感の高さを感じさせる仕上がりになっている。

底面。少しザラっとした質感がある。安定感はかなり高い。

 アルミ合金製の本体は、重量が558gあり、革製のストラップが付いている。ここにブランドロゴを記したタグが用意されており、手を通して持ち運ぶ際の長さ調整にも使える。このタグのデザインは従来「円形」だったが、今回より落ち着いた雰囲気の「縦長形状」に変更されている。高さを2mm削減し、重量も42g軽量化した。

 ボタンは側面に、電源、Bluetoothペアリング、マイク音/オフ、音量調節、再生/一時停止を用意。従来機種と位置を変え、ぶら下げた状態で上部からボタンが確認しやすくしたという。

 一方で、バッテリー容量は3000mAhにアップ。70dBの音量で18時間、控えめな音量であれば48時間と従来機と比べて長時間の音楽再生が可能となった。また、IP67認定の防水機能を持ち、水の中にちょっと落としても大丈夫。プールやキッチンなど、水辺でも安心して利用できる製品になっている。充電はUSB Type-C経由で、5V/3A対応となっている。

aptX AdaptiveやSwiftペアなど、Bluetoothの最新機能に対応

 Bluetooth接続時に利用できるコーデックはSBCのほか、AACとaptX Adaptiveが選べる。aptX adaptiveは、電波状況や接続する機器に合わせて通信帯域を変化させられる。プレーヤー側の対応も必要だが、低遅延なaptX Low Latencyと、高音質なaptX HDの両方の特徴を兼ね備えた新しいコーデックである。

 音楽再生時にはCDを上回る品質での再生、動画再生時にはリップシンクの遅延ない再生が期待できるわけだ。

PCにスピーカーを近づけるとポップアップが出て、すぐペアリングできるSwiftペアに対応。
ネット環境があれば、セットアップも短時間で済む。

 ペアリングする際に、Swiftペアが利用できる点もシンプルでいい。SwiftペアはBluetooth LEの技術を使ったWindows 10の機能で、簡単に言うと、ペアリングモードにしたBeosound A1をPCに近づけると、右下にポップアップが出て、そこをクリックするだけで接続が完了するというものだ。Surfaceシリーズのキーボード/マウスを接続する際にも使われている機能で、対応できるPCとそうでないPCがあるが、分かりやすくシンプルに使い始められるのは利点である。

Swiftペアの利用には、事前に「クイックペアリングを有効」にしておく必要がある。
Bluetooth設定画面で、チェックボックスを入れる。

 Beosound A1はマイクを3つ内蔵しており、ビームフォーミング技術を使って高音質な集音が可能である。最近ではWeb会議の利用が進み、PCを使ったスムースな会話が求められているが、こういった要望にも応えやすい製品である。

 Beoplay A1の登場時はBluetoothスピーカーが市場で大きく伸びたタイミングだったが、そこから5年近い年月を経て、最新の機能を積極的に盛り込んだのが、Beosound A1であるという見方もできるだろう。

持ち味のクリアな中高域を、リッチな低域が支える

 Bang & Olufsenらしく、音質もハイクオリティに仕上がっている。

 モノラル再生のモデルだが、30W(クラスD)のアンプ2基で高域用(3/5インチツィーター)と低域用(3.5インチウーファー)の2つのユニットを駆動する、リッチな作りで55Hz~22kHzの再生に対応。1mの距離での最大音量も92dBとかなり大きく、低域も非常に豊かに再生できる。再生中、ユニットの上に手をかざすと風圧を感じるほどだ。

 Bang & Olufsenというと中高域の抜けが良く情報量も多い、品のよいサウンドが持ち味なのだが、本機はそんな特徴は踏襲しつつ、さらに低域の量感の上でも申し分ない仕上がりとなっている。小音量でも低域はしっかり残るし、部屋全体を音で見たすような大音量も出せる。

 テスト用に軽く流していたら、近くを通った家族がふと立ち止まって、音の良さに驚いていたほど。オーディオ機器に興味がない人もハッとさせるサウンドと言えるかもしれない。女性/男性ボーカルなどはもちろんだが、クラシック曲などは低域が深く沈んでスケール感のある再生が可能だし、ジャズなどでは芯のあるベースと、抜けが良く透明感のあるボーカルが空間に広がる。

 曲のジャンルを問わず、いい音で聴けるスピーカーと言えそうだ。

 特に低域がしっかりしていて、安定感と余裕感のあるサウンドが大きな魅力だ。Bluetoothスピーカーを楽しむシーンは増えているが、映画を迫力よく楽しみたいといったニーズなどにも対応できる。また、ビートの歯切れよさは、ダンス系の音楽を聴く際にも好適。自室でエクササイズする際に流す、BGMにも適しているのではないだろうか。

iPhoneのAlexaアプリと連携させられる。

 Beosound A1は、Alexaを使ったボイスコントロールにも対応した。AlexaアプリをインストールしたスマホとBluetoothで接続しておき、「アレクサ」と呼びかけると、水色にLEDが光って音声操作を受け付ける。なお、遠くの場所・小さめの声でも反応するが、AmazonのEchoシリーズなどと比べると、反応まで少しタイムラグある印象があった。

Alexaアプリで連携の設定をする。
セットアップ自体は非常に簡単だった。

 スマートスピーカーは数多く販売されているが、ここまで高音質な機種を探してもなかなか見つからないし、バッテリー駆動で気軽に持ち運べるというのもメリットだろう。

 離れた場所からでも、選曲操作や音量の調整が可能となるので、操作できるので、エクササイズの途中、あるいは料理中などでも、離れた場所からハンズフリーで利用できて便利だ。また、ニュースを聴いたり、タイマーを使ったりもできるのも、料理/トレーニング時に便利に使える。

専用アプリ。製品画像が表示されている。
バッテリー残量などが表示されている。

 操作は、ほかのBang & Olufsen製品と共通化されたアプリからもできる。トーンバランスはプリセットの「最適」「Ambient」「Party」「Speech」「Favorite」のほか、カスタムが選べる。その調整には、ウォーム/ブライト、リラックス/エネルギッシュの2つの軸が描かれた円の上の好きな位置に指でカーソルを合わせるだけと直感的だ。

プリセット設定は5種類。Alexaの利用設定も。
直感的なトーンバランス調整が可能だ。

 また、このアプリから2台のBeosound A1をステレオペアにする設定もできる。今回は試せていないが、モノラルでこれだけの再生能力があるなら、ステレオ再生時にすればもっと……という期待ができる。

革製のストラップで、ちょっとした場所に吊り下げられる。

 本体は安定した机や棚の上に置くのがベストだが、フックなどにぶら下げて使うこともできるので、アウトドアなどでスピーカーの置き場所が上手く見つけられない……といった場合にも大丈夫だ。防水機能なども持つため、スマホとBeosound A1を持ち運べば、どこでも手軽に音楽を楽しめる。

 本体はカバンなどに入れるには若干大きめではあるが、ストラップで手に提げたり、カバンに吊るしたりできる。見た目的にもシンプルで、どんな場所でも自然になじむだろう。どんな空間もいい音の音楽を満たせる製品だし、持ち運ぶ楽しさが実感できる。そこがBeosound A1の魅力と言えるだろう。

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