よい会議は、理想と現実のギャップを埋めていくPhoto:Michael Brown/123RF

アイスブレークで打ち解け、「すごいチームに所属した」というプライドをメンバーが共有できたら、いよいよ実際の会議に入る。これまで述べてきたように、あうんの呼吸では何も伝わらない。よい会議は、「いけてない現状」と「何となくわかっている理想の姿」との間にあるギャップを埋めるための、具体的な道筋を示すものだ。ここでは、3つのステップで進めていく方法を紹介する。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

会議とは、タスクを割り出すためのもの

 アイスブレークで打ち解け、会議体のプライドを高めたところで、そろそろ本丸に踏み込んでいきましょう。グローバルの会議は常に、必ずタスクを割り出そうと、積極的な姿勢で挑むものです。そのためにも議題/アジェンダ(Agenda)の確認は欠かせません。

 みなさんも、今日の5時までに顧客に提案を出さなければならないなど、目的が明確なときやせっぱ詰まったときは、「この会議では、お客さんに出す提案の、商品案、値段、納期の3つを決めなければなりません」と最初に宣言するのではないでしょうか。

 グローバルの会議では、常にこの場で「決めなければならない」という感覚で臨みたいのです。そのために、今日の会議で何をどのような方法で成し遂げるかを最初に明確に共有します。

 アジェンダ共有の際に最も大切なことは、会議を「タスクを割り出すためのもの」と位置づけ、有効なステップに則って行なうと宣言してしまうことです。

 ビジネスのミーティングは、現状と理想の姿の乖離(ギャップ)を少しでも解消し、ゴールに近づけるためにあります。

 このギャップの呼び方は人やシチュエーションによって多少異なり、技術陣の改善ミーティングにおいては「改善幅」でしょうし、問題解決の面談では、「課題」と呼ばれるかもしれません。セールスでは「わが社の製品が解決する貴社が現在被っている損失」と呼ぶかもしれません。起業家にとっては、実現したい未来と現状の幅であり「機会」なのかもしれません。

 いずれにせよ、皆、ギャップの解消を目的としています。

会議を3つのステップに区切る

 会議のアウトプットは理想と現状のギャップを解消、あるいは縮めるためのタスクを割り出すことであり、いかに合理的かつ効果的なプロセスで運営できるかがカギとなります。

 例えば、海外向けの日本のグッズのECサイトを作ったものの、いまひとつ振るわない。本来だったら、月間500万円くらい売り上げられる商品なのに、今のところ、よくて月間100万円がせいぜい。そんな状況を解決するタスクはいくらでも列挙できるでしょう。

・広告を増やす
・ECサイトのスピードを上げる
・値引き施策を見直す
・メールマガジンやブログを始める
・商品の名前をもっと魅力的なものにする
・海外で知名度の高いタレントに宣伝してもらう……

 ただ、このような思い付きの総当たり戦では、コストも時間もかかってしまいます。多様なバックグラウンドを持つ人々が集まる会議体で、合理的、かつ効果的にタスクを割り出していくには、プロセスを誰でもわかるようシンプルで明快なものにする必要があります。

 以下の3つのステップを意識するとよいでしょう。次ページから詳しく見ていきます。