日本の会議では物事が決まらない、せっかく集まっているのに何も決まらないのは、時間の無駄遣いではないか、と海外の方から指摘されることは多い。方向性はもちろん、具体的なアクションプランにまで落とし込まれていなければ、物事を決めたとみなされない。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。
STEP0 土台作り
文化の違いを踏まえて、活発に議論できる環境を整える
日本の会議では物事が決まらない、と海外の方からよく言われています。古い体質の企業に限らず、先日も、米国系の某有名テクノロジー企業の日本法人で働く方から同じ話を聞きました。せっかく集まっているのに何も決まらないのは、時間の無駄遣いではないか、との不満もよく耳にします。
日本人の立場で言えば、何も決めていないわけではないのです。あの部長が「悪くないね」というのは事実上のGOサインだとか、いちいちAさんはこれ、Bさんはこれ、という指図がなくても、それぞれの経験や立ち位置からおのずと作業が分担され、きちんと業務が遂行されています。そうでなければ、世界第3位の経済大国にはなれなかったでしょう。
ただ、このやり方は日本のローカル・モードと言えるもので、海外の方から見ると不可解であり、一緒に仕事がしづらいのです。グローバルの環境では、「誰が、どのタスクを、いつ、どうやるか」を明確にします。方向性はもちろん、具体的なアクションプランにまで落とし込まれていなければ、物事を決めたとみなされないのです。なので、会議でタスクが洗い出されないのなら、いったい何のための会議だったんだ、となるわけです。
では、そんなグローバル環境で会議を進めるためには何が必要でしょうか。STEP0では、そのためのお膳立てを見ていきます。
まずは、日本と海外の違いを生み出している源泉を、文化の違いから見ていきます。ここでは、「高文脈」「低文脈」といったグローバル・コミュニケーションで切っても切れない重要な考え方をおさらいし、また、同時に「公私」についての海外との違いについても理解します。
次のステップとして会議の土台作りを見ていきます。