コロナ時代に「調整型マネジャー」を窮地に追い込む5つのハードル
コロナ禍でマネジャーに求められる能力も大きく変わりました Photo:PIXTA

 人は一体、一日のうち、どのくらい本当に仕事のことを考えて過ごしているのだろうか。

 公式組織とは何かについて「コミュニケーション」「協働の意欲」「共通の目標」の3つの要素から定義したチェスター・バーナードの『経営者の役割』を読み込む機会を得た。その中にこんな記述があった。

「同時に多くの組織に『所属』していない者を見いだすことはほとんど不可能であろう」

仕事のことを考えているのは
わずかな時間にすぎない?

 この本が書かれたのは1938年のアメリカ。こんな時代からすでにアメリカではみんなが副業をしていたのであろうか。いや、そういう話ではない。

 バーナードは自分が所属している組織で長年、技師として働いてきた人を例に挙げ、彼が技師として働く以外に、13の顔を持っていると説明する。

1. アメリカ国民、ニュージャージー州民……
2. カトリック教会の一員
3. コロンブス会の会員
4. アメリカ在郷軍人会員 
5. オータナウェー・ゴルフ・クラブの会員 
6. 民主党員 
7. ニューアークのプリンストン・クラブの一員 
8. 3つの会社の株主 
9. 自分の家族(妻と3人の子供)の家長
10. 彼の父の家族の一員 
11. 妻の家族の一員 
12. それほど公式的でないほかの組織の一員 
13. 孤独な自分 

 である。

 そしてこの技師について、「もっとも大事な組織に名目的にささげている時間が、1年約8760時間の25%以下にすぎないし、実際に働いていると考えている時間でも、そのつもりにもかかわらず、魚釣りのことを夢想し、家庭のことを思案し、前夜のブリッジを頭の中でやり直しているという。しかし、彼自身としては自分のことを働き者だと考えているし、皆からそう思われても仕方がない」と指摘している。